ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ







「あそこなんだけど……」

マシューは、洞窟を指差した。



「じゃあ、俺が見て来るから、様子がおかしかったらすぐに逃げるんだぞ。
そして、自警団の人達に知らせてくれ。」

「キーファ、君、一人で行くつもりなの!?」

「あぁ、相手は強盗犯だ。
あんたを危険な目に会わせるわけにはいかない。
じゃあ、頼んだぜ!」

「あ…キー……」

キーファはマシューが声をかける間もなく、洞窟に向かって走り出した。



(……まさか、いる筈ないよね…)

茂みの中でマシューは息を潜め、じっと様子を見守った。
そのうち、不意に争うような大きな物音と怒号が響き、マシューの心臓は縮みあがる。



(ど、ど、どうしよう!
本当に犯人がいたんだろうか…)

マシューはキーファのことが気になり、様子を見に行こうと考えるが、足がすくんで歩けない。



(…そ、そうだ!
自警団の人達に…!)

マシューは、一度だけ洞窟を振り向いて、震える足を必死に動かしながら自警団の男達を探しに行った。







「良くやった!
……でも、こんな無茶なことはもう二度とやるんじゃないぞ!
下手すりゃ、命を落とす事になるんだからな!」

「はい…」

キーファは気まずい顔で、ぼりぼりと頭をかいた。

マシューが自警団の男をみつけ、洞窟へ案内した時、キーファはずいぶん傷付きながらもようやく強盗犯を押さえ込んだ所だった。
かくして、強盗犯は無事に捕えることが出来、マシューとキーファはその無謀な行動をたしなめられながらも称賛された。



「あ〜あ…ついに、少年の家の世話になっちまった。」

キーファは、天井をみつめながら小さな溜め息を吐いた。



「仕方ないよ。
君は怪我をしたんだし、僕達、宿に泊まるお金もないんだから。
そんなことより…さっきはごめんね。
僕、助けにも行かなくて……」

「何言ってんだ。
あんたが、自警団の人をみつけて連れて来てくれたから助かったんじゃないか。
あのままだったら、俺は危なかったかもしれない。
これでも力には自信はあったのに、やっぱり俺の力なんてたいしたことないんだな…」

「そんなことないよ!
あの男は、四人の男を倒して金を奪っていったらしいんだ。
とびきり強い奴なんだよ。
それに前科もあるって言ってたから、きっと喧嘩にも慣れてるんだよ。」

「そうだな…やっぱり実戦って大切だよな。」

そう言って、キーファは目を伏せ失笑する。


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