ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ



(全く、誰がこんなおかしなしきたりを始めたんだ。
迷惑だったらありゃしない。)

少年の旅は、出発にあたっての持ち物も決められていた。
大きさの決められた袋に入るだけの食料や薬、ランプや地図等の日用品と、一泊出来る程度の金、そして、自分の扱いやすい武器や防具だ。
元々、闘うことはおろか運動でさえあまり得意でないマシューは、どうせ使うこともないだろうと古びた父親の剣だけを持って旅に出た。
マシューが旅に出てからその剣を使ったのは、畑で盗んだまぼちゃを切った時だけだった。



(……暗くなって来たな。そろそろ行かなきゃ。
今夜は町まで行って、また少年の家で食事と宿の世話を頼もう…
ま、先はまだ長いんだし……証書はもうちょっと進んでから集めればいいや。)

いまだに一枚の証書も持っていないことに、マシューはさして焦りを感じる事もなく、大きく伸びをしてゆっくりと立ち上がった。
しばらく歩いて行くと、マシューの目の前には二股の分かれ道が現れた。



「えーっと…どっちだったっけ。
この前、少年の家で見た地図によると、どっちかの道が町に近かったような…」

マシューは高値な地図等持ってはおらず、少年の家に立ち寄るごとに、出来るだけ魔物の出そうにない安全な道を選んで旅をすることにしていた。
だが、先日は、たまたま寝坊してしまい、焦って出たため、しっかりと地図を確認することが出来なかったのだった。



(あぁ、思い出せない…!
あの時はまだ寝惚けてたし……困ったなぁ…)



「どうかしたの?」

分かれ道で腕を組んで立ち止まるマシューの背中から、爽やかな青年の声が響いた。



「え…?
あ…あぁ…えっと、あの、実はこの先どっちへ行こうかと…」

振り向いた先にいたのは、マシューとさほど変わらない年格好の青年だった。
年齢は同じくらいに見えたが、体格はマシューよりもうんと背が高く逞しい。


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