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「オニガワラさん、大丈夫かしら?」
「あの体格だ、心配はいらんだろう。
それより、ミカエルはどこに行ってるんだ?
またキャバクラなのか?」
「最近は、キャバ嬢にも全然相手にしてもらえないらしく、キャバクラ通いはやめたみたいですよ。」
「そうか……あいつも可哀想にな……」
ガーラが分娩室に入って30分程経った時のことだった。
「がお〜〜!!がお〜〜!!」
地の底から響くような不気味な唸り声が皆の耳を震わせた。
「まぁ、獣の唸り声が……なんと恐ろしい!」
「まさか、こんな町中に獣などいないだろう……」
「もしかしたら動物園の獣が逃げ出したのではありませんか?」
王妃と国王がそんな会話を交わしていると、大きなものを抱き抱えたルーファスが分娩室から現れた。
「王様!王妃様!!産まれました〜!!
とても元気な7800gのオスですぞ〜!!」
「な、な、な、7800g〜〜??
牛か〜〜〜!?」
(……ってことは、やっぱり……)
王妃と国王の心に悪い予感が走った。
「ほら!ごらんください!
オニガワラさんに瓜二つですよ!」
「どれどれ…………ぷっ…」
顔を見合わせた国王と王妃は思わず吹き出し、やがて爆笑の渦は部屋中に広がった。
「よくもこんなにそっくりに産まれられるもんだな。」
「ほんに…まるで、オニガワラさんを赤ん坊にしたようですな。
でも、顔や体格はこれほどオニガワラさんに似てますが、性格はミカエル様に似てらっしゃるかもしれませんぞ。」
ルーファスのその一言に、部屋からは笑いが消え、その代わりに重苦しい沈黙が広がった……
(さ、最悪だ……このルックスであの性格だとしたら……)
ルーファスは、国王にそっと濡れ布巾を手渡す……
「だ、だめです!いけませんわ!」
王妃が国王の手から濡れ布巾を弾き落した。
「こんなぶっさいくでも、この子はこの国の立派な跡取りなのですよ!」
「はっ!わ、私はなんということを…!!」
国王はその場にがっくりと膝をついた……
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