「もう、そろそろですな。
それにしてもなんとデカイ…!
こんなにデカイ腹はワシは今まで見たことがありません。」

「もしかしたら、双子じゃないかしら?」

「そうかもしれないな!……いや、あるいは三つ子かもしれんぞ!」

「いやいや、王様!
この大きさでは五つ子…もしかしたら六つ子かもしれませんぞ!」

「まぁ、面白い!」

部屋中にみんなの明るい笑い声が広がった。



あれから数ヶ月の時が流れた……

ガーラのお腹は順調に…いや、順調にも程がある!と言いたくなる程、巨大になっていた。
大きくなりすぎて、最近のガーラは歩く事さえ困難となり、部屋で寝てばかりだった。
そんなガーラの様子を見に、国王夫妻やルーファスが毎日のようにやって来る。



「赤ちゃんは男の子?それとも女の子かしら?」

「性別よりも、どちらに似るかということが重要な気がしますな。」

「その通りだな。
産まれてくる子がミカエル似であるように、皆で祈ろうではないか…!」

国王のその言葉をきっかけに、部屋にいた者達は、皆、ブツブツと呟き始めた。



「神様!どうか鬼瓦みたいな子供が産まれませんように!」

「どうぞ、ミカエルに似た可愛い子が産まれますように!」

「それが無理なら、せめて人並みの顔の子供でありますように…」



ガーラは、自分の周りでそんなことを祈る人々に顔をひきつらせながらじっと耐える。
産まれてくる子供を楽しみにしてくれるのは嬉しいが、部屋に来てはこんなことばかり言う彼らには、ガーラもほとほとうんざりしていた。



(怒ったら胎教に良くないわ。
我慢!我慢!)



そう自分にいい聞かせ、我慢を重ねるガーラの身体に突如として異変が……



「う……う……うが〜〜〜!!
お、おなかが〜〜!!」

「オニガワラさん、どうかしたの?
顔が真っ赤で赤鬼みたいになってますよ。」

「う゛う゛産まれる〜!」

「まさか!予定日にはまだ……」

「う゛う゛う゛まれる〜〜〜!!」

「まぁ!大変!」

「早産かもしれんぞ!急げ!」



直ぐ様、ガーラは分娩室に担ぎこまれた。


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