「ご迷惑だなんて…何をおっしゃってるんですか。
大変な目にあわれましたね…
しかし、お元気になられて本当に良かった。
さ、こんな所で立ち話も何ですから、お屋敷の方に参りましょう。」

ヨンネに促されてレヴ達は屋敷を目指した。
歩いてる間に何人かの森の民に出会ったが、皆、少しはにかんだような微笑みを浮かべて手を振り、よそ者であるレヴやサリーにも歓迎してくれている気持ちが伝わった。



(……あ……)

今頃になってレヴは森の民の緑色の髪と肌の色に気が付いた。
こんなにも普通の人間とは異質な色なのに、何の違和感も感じていなかったことにレヴは驚く。

先頭を歩くヨンネの髪は、太陽の光を浴び、優しい風が吹く度に動く…
まるで、サラサラという音が聞こえてきそうな軽くしなやかな美しい髪だ。

いつの日か、ヴェールも誰にはばかることなく本来の姿のままで過ごせる時が来れば良いのに…

レヴはふとそんなことを想っていた。



レヴは村の奥の屋敷に通された。

「ヴェール、ここは村の長の住まいなのだな?」

「そうです。
私の一族が代々住み続けて来た屋敷のようです。」

「そうか…そのうちに君もここで暮らす日が来るのだろうな…」

「…まだまだ先のことですよ。
そろそろディサさんとユスカさんがいらっしゃると思いますので、ちょっと表まで見てきますね。」

そう言うとヴェールはその場を離れた。



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