「ここです。」

「…ここ…?」

ヴェールが指差す先には、ただの岩壁とブッシュしかないように見えたが、ヴェールについてその場に近付くと岩壁の一部に小さな空気のゆらめく場所が見えた。



「あ!そうか!
この前、あたし達が森から出る時に使った道だね。
あの時はなんだか慌ただしかったから、すっかり忘れてたよ。」


ヴェールは小さく微笑むと、ためらうことなく、ゆらめく空気の中へ踏み込んだ。
彼らにとってはすでに何度か経験したことだ。
まばゆい光に包まれ、一瞬意識がなくなるような感覚を感じたかと思うと、次の瞬間、あたりの景色は一変する。



(…ここに森の民達が…)

レヴは、あたりを見渡ながら、心が興奮に満たされていくのを感じた。



「ヴェール様〜〜!」

三人の訪問を一番に発見し、駆け寄って来たのはヨンネだった。



「ヨンネさん、おひさしぶりです。
今日は私の友人を連れて来ました。」

「この方がレヴ様なのですね!
すぐにわかりましたよ。」

ヨンネはレヴをみつめ、にこにこと親しみのある笑顔で微笑んだ。



「レヴさん、こちらはヨンネさんです。」

「初めまして。レヴです。
この度は私のことで大変なご迷惑をおかけしました。」


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