西の森が近付いて来るにつれ、ジネットの心は落ちつきを失っていく。



(……ここは確か…
そうだわ!西の森の近くよ。
もしかしたら、皆は今頃あの西の森に移動しているかもしれない…!)

そう思うとジネットはいてもたってもたまらない気持ちになってしまうのだった。



(帰りたい…
いえ、せめて一目だけ母さんに会いたい…
話さなくても良い。
遠くから見るだけで良いから…)



ジネットのその想いはどんどん強くなっていく。
だが、ジネットはまだ案内人の手掛りさえ何もみつけてはいない…



(…こんな状態で私が帰ったら…
母さんはきっと悲しむことでしょうね…)



やがて、時が過ぎいくつかの町を越え、ある小さな町に着いた。



「ジネットさん、親戚の家はこの近くなんです。
多分、数日で帰って来られると思いますから、待っていて下さいね。」

「わかりました。
どうぞ、皆さん、お気を付けて…」

心細い気持ちを押さえ、ジネットは口先でものわかりの良い返事を返した。



いつものことではあるが、ジネットはこの瞬間が一番嫌いだった。

いつまでたっても自分は除け者…ついつい、そんな気分になってしまう…
最近は以前よりも皆との距離が近付いたように感じたりもしていたけれど、そんな風に感じていたのは自分だけだったのかもしれない…そんなことを考えて、ジネットの心は沈みこんでしまうのだった。

ジネットの脳裏にふと母のことが思い出される。



(…ここから西の森へは近いわ…
みんなが来てるかどうかだけでも見に行ってみようかしら…)





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