ディサが香りの良いお茶を皆の前に差し出した。



「ディサさん…今日はお詫びに参りました。」

「お詫び…?…どういうことですか?」

「ジネットさん…いえ、カタリナさんは…私のせいで亡くなったのです…」

「それは違うわ…
カタリナは、あなたを愛し、そして子供を授かったのよ。
お産の時に亡くなったのはあなたのせいではありません。」

「それが…そうではないのです。
カタリナさんはお産が原因で亡くなったのではないのです。
カタリナさんが亡くなったのは…魔石のせい…私がそれに気付かなかったせいなのです。」

「まさか!!」

ディサの瞳が大きく見開かれ、ヴェールをじっとみつめる。



「ディサさん…魔石が原因だということはほぼ間違いない…
だが、それに気付かなかったということは彼のせいではありません。」

「で、では、あのルビーが?
レヴさんにいただいたというあの指輪が魔石だったのですか?
でも、あの指輪は今でもありますよ。
あの子のバッグの中にありました。」

「いえ、あれはごく普通の石です。
魔石はカタリナさんが亡くなる前に指にさしていたものです。」

「しかし、私達はあのような指輪をジネットさんが持ってらっしゃったとは全く知らなかったのです。
ジネットさんは私達の前では一度もあの指輪付けられてはいませんでしたから…」

「あの子が魔石を…
だから、あんなに急に痩せてやつれて…」

「私がもっと早くに気付くことが出来たら…」

ヴェールは、唇をきつく噛みしめた。



「私達はこちらへ来る前に調べていたエメラルドが魔石だったのだと思い込み、油断していたのです。
よもやこんな近くに魔石があったなんて…うかつでした…」

「でも、あたし達はほとんどいつも一緒だったから、ジネットが魔石を手に入れたとしたらここへの帰りがけじゃないのかな?
まさか、この森の中で買ったなんてことはないだろ?」

「ええ、この森でそんなものを売る者はいません。
きっと、ルビーを見たことがある者も少ないと思います。
可哀想なカタリナ…
きっと、あなた方と別れてから魔石に出会ってしまったのね…」

「私がレヴさんの言われた通りに、カタリナさんをこちらまで送り届けていたらこんなことには…」

「ヴェール様、あの子がそんなことをしたら、私はきっと叱ってますわ。
あなたにご迷惑をかけるようなことはしないようにときつく言い聞かせていましたから。」

「ジネットもそう言ってたよ。」


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