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「わかった。
でも、それなら、もっと良いものの方が良いのではないか?」
「馬鹿だね!そんな高価なもんだったら、ジネットが遠慮するじゃないか。」
「しかし…傷物ではあまりに…」
「なら、これよりもう少しだけ良いものがあるから、それを持ってこよう。」
ピエールは店から、別のルビーをいくつか持って来た。
「これはキズがない分、さっきのよりは少々高いものになるが、新品と比べたら格安じゃよ。」
レヴとしてはもっと良いものを贈りたかったのだが、サリーに説得され、ピエールの店の中古ルビーを買うことになった。
「良かったね〜!
きっと、ジネット喜ぶよ!」
「しかし、本当に良いのか…こんな小さなルビーで…」
「あんたにしたら、おもちゃみたいなもんに見えるかもしれないけど、庶民からしたらたいしたものなんだよ!
…でも、ルビーって、よく見たら本当に綺麗な色だねぇ…
このなんとも言えない赤い色が…」
「今更、なにを…
……赤い色……?!
まさか、この石は…!!」
「なんだい?どうかした?」
「忘れたのか、サリー?
西の塔の魔女が言ってたではないか…!
魔石について見えたイメージは『赤と緑』だと…まさか、このルビーが…
サリー!ヴェールを呼んで来てくれ!」
「わかった!」
サリーの呼ばれて駆け付けたヴェールは、詳しい事情も聞かされぬままに、ルビーとを対話を始めた。
ヴェールの様子を三人はじっと見守っていた。
ヴェールは、目を閉じ、ルビーを握り締めたまま動かない。
しばらくすると、やっとヴェールの瞳が開いた。
「どうだった?!」
「…これは、特に悪い意思を持ってるものではないと思います。」
「じゃ、魔石じゃないってこと?」
「ええ、その点は大丈夫だと思います。」
「……そうか…」
三人は同時に安堵のため息をついた。
「もう!レヴ!おかしなこと言わないでおくれよ。
本当にひやひやしたよ!」
「いえ、サリーさん、油断は禁物です。
今回はなんともなかったから良かったですが、常に注意はしておかなければ…」
「…そうだね…
これがもし魔石だったら…えらいことになってたんだもんね…」
安全だとわかったルビーの指輪は、次の日、ジネットに渡される事になった。
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