10
*
「まぁ!これを私にですか?」
「そうなんだよ。
レヴはずっとあんたに看病してもらった時のお礼をしなくちゃいけないって考えてたらしいんだけどさ、なかなか良いものが思い付かなかったらしくって…
ね、レヴ、そうだよね!?」
「その通りです、ジネットさん。
そんな時にピエールさんからルビーのお話をうかがいまして…」
「あ…あのことですか…
あれは…」
「良いよ、ジネット、わかってるって!
パーティでいろんな人の付けてる宝石を見て、あんたも宝石がほしくなったんだろう?」
「え…?
え…えぇ!じ…実は、そうなんです!」
「やっぱり!
きっとそうだと思ってたよ!」
(…良かったわ…
皆さんがそんな風に誤解してくれてるのなら、わざわざあのガラスのルビーのことを言う必要もないわね…)
「さぁ、さぁ!
早速、はめてみなよ!」
「え、でも、本当によろしいんですか?
レヴさんにはお屋敷であんなにお世話になった上に、旅の間もずっとお世話になってるのに、その上にまたこんなものをいただいてしまって…」
「構わないさ!
レヴはお金持ちなんだから、遠慮せずにもらっときなよ!」
「本当ならもっと良いものをお贈りしたかったのですが…」
「あんたが遠慮するかもしれないと思って、この店のものにしたんだよ。
おかげでピエールも助かったよね!」
ピエールは嬉しそうにうなずいた。
「そうですか…?じゃあ、遠慮なく…」
ジネットが指輪をはめた右手の薬指には、指輪はほんの少しきつかった。
「ちょっときついようだね、のばしてもらうかい?」
「いえ…左手なら…
あ、左手ならぴったりです!
レヴさん、本当にどうもありがとうございます!」
(あのガラスのルビーとまったく同じサイズだわ。)
「左手の薬指かぁ…
その指には、ジネットの大切な人からの指輪を付けないといくないんじゃないかい…?」
「良いんです。
もし、その時が来たら、この指輪はサイズを直して別の指にさしますわ。
それまではこのままにしておきます。
本当に綺麗なルビーで、私、とても嬉しいですわ。」
ジネットは皆に指輪を見せ、微笑んだ。
「うん!とってもよく似合ってるよ!」
- 133 -
しおりを挟む
[*前] | [次#]
ページ:
戻る