「…わかったわよ。
そんなに話したいなら、相手してあげる。」

『良く言うな。
暇してるのはおまえの方だろ。』

「だ、誰が!!
あんたこそ、となかいが一番忙しいこの時期にこんな所にいるなんて、暇な証拠でしょ!
あ、わかった。
ここのとなかいは鼻が赤くないから、そりをひかせてもらえないんだ!」

『……本当におまえは馬鹿だな。
となかいの鼻は本来黒っぽいか、薄茶色なの。
おいらの鼻がノーマルなんだ。』

そう言うと、となかいは鼻をもぞもぞと動かした。



「そうじゃないでしょ!
赤鼻のとなかいっていう歌、知らないの?」

『もちろん知ってるさ。
♪真っ赤なお鼻の、となかいさんは、いつもみんなの笑いもの〜ってやつだろ?
普通のとなかいはおいらみたいな鼻なのに、真っ赤だからそのとなかいは笑いものになってたんだ。』

意外にもとなかいは歌もうまかった。



「え?
となかいは赤い鼻だから、他の動物から笑いものにされてるってことじゃないの?」

『よくそんな勘違いが出来るもんだな。』

となかいは呆れたように首を振る。
本当に生意気なとなかいだ。



「じゃ……同族のいじめってこと?」

『……人聞きの悪いことを言うな。
それに、あの話は本当のことじゃない。
人間が書いた童話みたいなものから作られた歌なんだ。』

「えっ!?あれって作り話なの?」

『……言い方が悪い、言い方が!』


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