「あれぇ……?」


突然、ラスターが動きを止め、おかしな声を漏らした。



「……ラスター、どうかしたの?」

「エリオット、婆さんがくれた願い石はオレンジ色だったよな?」

「そうだよ、それがどうかした?」

「……なるほど、そういうことか……」

そう言って大きく頷くダルシャを、皆は不思議そうな顔でみつめた。



「覚えていないのか?オスカーさんの話を…」

「オスカーさん?
……あの人は石の巫女の遺した願い石で……」

「あっ!そうだわ。
確か、その願い石はオレンジ色だって言ってたわ!」

ダルシャは再び頷いた。



「ラスターが気になったのもそのことだろう?」

「あぁ、そうだ。
なんで、おやじが使ったはずの願い石があるんだ?
確か、願い石はその願いをかけた者が死んでからじゃないと、次のは現れないんじゃなかったか?」

エリオットはフレイザーと驚いて顔を見合わせた。



「そうね、私もそういう話を聞いたことがあるわ。」

「私もそう言う風に聞いていた。
だが…それは、おそらく人間の寿命と同じくらいの年月が経たないと新しい願い石は現れないっていうことではないだろうか?
オスカーさんは普通の人間とは違う。
普通の人間ならとっくに亡くなっているはずの歳月を生きている。
それで、新たな願い石が現れたということではないか?」

エリオットとフレイザーは、新たに知った願い石の性質について、さらに目を丸くした。



(願い石って、使われてもまた出て来るんだ…)

(全然知らなかったな……でも、考えてみたら、今までにも願い石を使った人の噂がいろいろあったよな。)

(僕達、願い石について知らないことがまだまだあるんだね。)

エリオットとフレイザーは、皆に気付かれないように小声で囁き、頷いた。



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