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「全くおかしな話だ。」
「そうだね。
結婚した人が体調が良くないって、どういうことなんだろう?
わざわざ病気の人と結婚するはずもないし……」
「ま、どうせすぐにイグラシアに行くんだ。
行ってみればわかるだろ。」
ラスターは、そういうと、テーブルの上のワインに手を伸ばす。
「アーニーさんが教えてくれた森は、こことは反対側だから、何度か馬車を乗り継いで行くことにしよう。
それから……」
ダルシャはテーブルの上に地図を広げた。
「フレイザー。
今いるのがここだ。
獣人のいる森はこのあたり。
森の近くにラキアという町がある。
君達はここで待つか?
それとも、ここにいるか?
イグラシアには、ここから船に乗るから、このままいてくれても良いぞ。」
「そうだな……ジャネット、どうする?」
「うん……」
地図を見るジャネットは、まだ気持ちが決まっていない様子だった。
「明日の朝、出発するから、それまでに決めてくれ。」
「……わかった。」
*
「フレイザー、どうする?」
部屋に戻ったジャネットは、フレイザーに声をかけた。
「俺はどっちでも良い。
おまえに任せるよ。」
「そんな……私だって特にどっちに行きたいってことはない。」
「それじゃあ俺が決めて良いのか?」
「え……あ、あぁ、あんたに任せる。」
ジャネットは、どこか落ち着かない様子で頷いた。
「じゃあ……ラキアまで行こう。」
「えっ!?なんでそんなに早く決まるんだ?」
「だって…この宿、高そうじゃないか。
俺達がダルシャの友達だからって気を遣われそうだし、町もでかすぎてなんだか落ち着かない。」
「……確かにそうだな。
わかった。じゃあ、ラキアまで行こう。」
「本当に良いのか?
近くにいくのがいやなら……」
「……大丈夫だ。」
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