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「あそこじゃないか?」
「そうだな。きっとそうだ。」
「思ってたよりも近かったな。」
港町を発ったラスター達は、三日目の朝には目指していた町に着いた。
「この町にも小さな港があるらしいんだ。」
「じゃあ、着いたら早速手分けして探そう。
長い金髪の若い女なんだな。
……って、もう少し何か特徴はないのか?」
「そんなこと言ったって、俺だってそれしか知らないんだ。
仕方ないだろ!
……それと……その……」
話の途中から急に態度が変わったラスターに、フレイザーとジャネットは怪訝な顔を浮かべた。
「ラスター……どうかしたのか?」
「だから……だな。
そ、その女がここに来たのは、その…ちょっと前っていうか……」
「そんなことはわかってる。」
「そうじゃなくて…!!
その女がこの街に来たのは、多分、何ヶ月も前のことだから……」
「な、なんだって〜!?」
目を丸くする二人の前で、ラスターは静かに俯いた。
「そんな前のことだったのか……
だけど、それじゃあ……」
「あぁ、わかってるさ!
そんな前の話だったら、もうここにはいないって言うんだろ?
俺だってそう思うさ。
だけど、その女が本当に石の巫女だったら、行き先を辿っていくうちに、なにか願い石についても情報が得られるかもしれないじゃないか!
少なくとも俺は、ダルシャの仕入れて来た話よりは調べ甲斐がある話だと思ったんだ!」
「……そうだったのか……
でも、それなら最初からそう言ってくれたら良かったのに……」
「え……?
だ、だって、そんなこと話したら……」
フレイザーの穏やかな言葉に、ラスターは意外な顔をして動きを止めた。
「……なんて顔してるんだよ。
話したら、誰もついてこないとでも思ったのか?まぁ、良い。
さ、それじゃあ早く町に行こうぜ。
話は港で聞けば良いよな?」
「そ、そうだな。
じゃあ、港に行こう。」
優しく微笑むフレイザーからラスターは顔をそらし、先頭に立って足早に歩き始めた。
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