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「……そうね。
そういうことだって、ないとは限らない……」

「セリナ…君までそんなことを……」

ダルシャは眉をひそめ、小さく首を振る。




「現に私も怖い想いをした……
下手をしたら今こうして生きてられなかったかもしれない……」


ダルシャは、セリナのその言葉に、渋い表情を浮かべるだけで何も言い返さなかった。



「セリナ……ボク…おじいさんが言ってたことが気になるんだ。
巫女を殺す護り人がいるって言ってたじゃない。
もしかしたら、そいつがこの大陸にいるんじゃないかって……」

「だが、それは噂だと言っていた。
レオナルドさんも詳しいことを知ってるようではなかったし、そもそも、私には理解が出来ない。
巫女を護るための護り人が、その巫女を殺すだなんて……」

「だけど、良く考えてごらんよ。
護り人の人生は巫女を護ることだけがすべてだ。
生まれた時から、その人に自由はないんだよ。
……頭の中ではわかっていても、そう簡単に受け入れられることではないと思う。
反発を感じるうちの一人が、そんな歪んだ行動に走ったとしても、不思議はないんじゃない…?」

ダルシャは、エリオットの肩に優しく手をかけた。




「その話は今はやめておこう。
どれほど話したところで、本当のことはわからない。
今は余計なことは考えず、オズワルドの消息をたどってみよう。
いろいろなことを考えるのはそれからだ。
……良いね?」

「わかったよ。」

「……それじゃあ、そろそろ休もう。
明日は早くに出発するぞ。
では、おやすみ、セリナ…エリオット。」

歩き去るダルシャの後ろ姿をみつめながら、エリオットとセリナはそれぞれが抱える複雑な想いを押さえ込んだ。




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