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「ラスター!」

名前を呼ばれ、顔を上げると、手を振りながら駆けて来るフレイザーとジャネットがいた。



「どうかしたのか?」

「みつけた!
その女性のことらしき情報をみつけたんだ!
さ、こっちだ!」

フレイザーに促され、ラスターは二人の後ろを追いかけて行く。








「多分、その人に間違いないと思うが……」

港で、船の案内をしているという老人がぽつりぽつりと話し始めた。



「もう半年くらい前になるかね。
長い金髪をした女がここにやってきた。
まだ若いだろうに、痩せこけてやつれた雰囲気で、常にあたりを警戒してるような素振りをしていた。
その女は、とにかくこの大陸を出たいのだが、カルボ以外で船が出ている港はないかと聞いてきた。
普通なら、行き先を言うもんだが、その女は行き先にはこだわっていない様子だった。
この大陸から出られりゃ、どこでも良かったんだろうな。
つまりは、わけありなんだとすぐにわかったよ。」

そう話すと、老人は手に持っていたパイプをくゆらせた。



「それで…その女はどこへ行ったんだ?」

「わしが運行表を調べてみたところ、ポーリシア行きの船は四日前に出たばかりで、ベルーシアに向かう船は、二日後に出港だった。
パルメンの港は遠い。
とてもじゃないがたった二日で行けるはずもなく、それからしばらくはどちらの船もないことを話すと、女は酷く沈んだ顔をした。」

「それ以外に何か言ってなかったか?
たとえば、行き先について何か……」

「……あんたら、誰なんだ?
その女の知り合いか?」

「え……」

思いがけない質問に、フレイザーとラスターは顔を見合わせた。




「わ、私の姉さんだ。」

「姉さんだと…?」

突然、ありもしないことを言い出したジャネットに、老人だけではなくフレイザー達も驚いた表情を浮かべた。



「あぁ、そうだ。
ただ、私とは父親は違うが、小さい頃からけっこう仲は良かった。
姉さんは、数年前に結婚したんだが、その旦那は酷い酒乱らしくてな。
ずいぶんと酷い仕打ちを受けていたようだ。
なのに、姉さんは私達には何も言わず…でも、どうにもたまらなくなって家を出たらしいんだ。
旦那がうちに怒鳴り込んで来たから、私達もそのことを知った。
その旦那は酷く執念深い性格で、姉さんのことをどんな手を使っても探すと言っていて……だから、私は姉さんのことが心配で心配で……」

ジャネットは、苦しそうに唇を噛み締めた。


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