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「どうしてその者が願い石を持ってるのか、詳しいことはわからないが、しかし、その男の名前と居場所はだいたいわかっている……」
「そ、それじゃあ、やっぱりそっちに行った方が良いんじゃない?
なんせ、願い石を持ってるわけだし、住んでる場所もわかってるんだから……」
「そうだな…今までもけっこうそういう話はあったしな……」
みんながダルシャの方に共感するのを見て、ラスターの顔はだんだんと不機嫌なものに変わっていく。
「それなら、みんな、そっちに行けば良いだろ!
俺は、一人で探してみる!」
「待て。」
立ち上がったラスターをダルシャが引き止めた。
「一人で行くのは危険だ。
それに、万一、それが本当に石の巫女を探してる奴らだったとしたら、セリナのことも心配だ。
だから、セリナは私が連れて行こう。
他の者は、ラスターと……」
「馬鹿野郎!
あんたみたいな女癖の悪い男とセリナを二人っきりになんて出来るか。
ジャック…じゃない、ジャネット…あんたもセリナと一緒に……」
「ラスター……だめだよ。
フレイザーとジャックを引き離しちゃかわいそうじゃない。
ボクがセリナやダルシャと一緒に行くよ。」
話し合いの末、ラスターとフレイザーとジャネットは、石の巫女を追ってる男達の後を追い、ダルシャとセリナとエリオットは、願い石を持っているという者の所へ向かうことになった。
「ラスター、君達はこっち側へ行くんだな?」
「あぁ、男達はこことは違う港へ行くって言ってたらしいからな。
あんたは?」
「私達はこっちだ。
だから、このあたりで……そうだな、このローダンという町はどうだろう?」
ダルシャは、広げた地図の一点を指差した。
「そうだな、ここらがちょうど中間地点だな。
大きな町みたいだし、ここならわかりやすいだろう。
よし、それじゃあ、ここで落ち合うことにしようぜ。」
話はすんなりと決まり、三人ずつ二組に分かれた一行は、それぞれの方角に向かって港町を旅立った。
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