「それでは聞かせてもらおうか。」

五人の期待のこもった瞳がみつめる中、ラスターはどこかもったいぶった咳払いをする。



「驚くなよ。実はな……
この大陸には、どうやら石の巫女がいるらしいんだ。」

五人はそれだけで目を丸くし、ラスターはその反応に機嫌の良い笑みを浮かべた。



「それで、ラスター……
巫女の居場所もわかってるのか?」

「それは…まだなんだけどな……」

「まだ……?
どういうことなんだ?」

「それが、だなぁ……」

ラスターはさっきとは打って変わって、歯切れの悪い話し方でもたもたと話し始めた。








昨夜、ダルシャと別れ、別の店に移動したラスターは、この町の漁師達のグループと知り合い、仲良く酒を酌み交わした。
そのうち、ラスターが願い石の話題を投げかけた所、一人の男がその話に反応した。
いかにも胡散臭い数人の男が、ある女性を探していたという。
男達は、女性の特徴を話ながらそういう女性が、船に乗らなかったかと、それはしつこく聞きまわっていたというのだ。




「その話が、願い石とどう関係するんだ?」

「あいつらが探してたのは…きっと石の巫女じゃないかって思うんだ。」

「えっ!?石の巫女!?」

「そうじゃなきゃ、あんなに必死になって探すはずがねぇ!」

「足抜けしようとした商売女を追ってたんじゃないか?」

「いや、足抜けしようとした女がいたなんて聞いたことはねぇ。
第一、そのくらいのことで、あんなに必死に探し回るもんか。
ありゃあ、きっと石の巫女を探してたんだ!」








「なんともいいかげんな話だな。」

「そうだね。それが石の巫女だって言い張ってるのは、たった一人の漁師なんでしょう?
確証は何もないんだよね?」

「なんだよ、ダルシャもエリオットも酷いじゃないか。
俺が聞き込んで来た話を信じないのか?」

「そういうわけではないのだが……実は、私も願い石を持ってるという男の話を聞いたんだ。」

「なんだって〜〜!?」

目を丸くするラスターを見て、事情を知っている他の四人も、慌てて驚いたふりをした。

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