「やっと着いたか……」

船は、ほぼ定刻通り、夕方近くに港に着いた。
船から降りると、ラスターは気持ち良さそうに大きく伸びをする。



「最近、ラスターもほとんど船に酔わなくなったね。」

ラスターから少し離れて歩いていたエリオットが、傍にいたセリナに声をかけた。



「そうね。
船にももう何度か乗ってるし、あちこち旅して馬車に乗ることも多いから、きっと慣れたのね。」

「そうなんだろうね。
とにかく、機嫌が良くて良かったね。
後は、護り人のことをぎりぎりまでバレないようにするだけだね。」

「大丈夫よ、きっとうまくいくわ。」



六人は、いつものように、最初に目についた宿に泊まることを決めた。
今夜は、ダルシャが夜の街に出て、そこでオズワルドの情報を聞きこんで来たという筋書きになっている。
今までにもそういうことがあったため、ラスターも自然とそれを受け入れると考えたのだ。
そして、すぐにオズワルドが見つかれば、そこでこっそりと護り人や巫女についての話を聞き出し、願い石の情報を持っているというのは間違いだったということにするように、ラスターを除く五人の間ではすでに話がまとまっていた。



「ここの料理はうまいなぁ……!
俺、こんなにうまい魚料理は初めてだ。」

「本当だね!とってもおいしいね!
味付けが絶妙だし…何かすごく良い香りがする。」

宿の料理はとても良い味をしており、そのことでラスターは、また一段と機嫌を良くしたようだった。



「今日のラスターはずっと機嫌が良いね。」

「良かったじゃないか。
この機嫌の良さがずっと続いてくれると良いのだが……」

エリオットとダルシャは、そんなことを小声で囁き合った。



「さて…と……私はそろそろ出かけて来よう……」

ダルシャはゆっくりと席を立つ。



「よし、今夜は俺も久しぶりにちょっと飲みに行こう。
相手があんただっていうのが、いまひとつ冴えないが、ま、仕方ないな。」

ダルシャは内心の焦りを、穏やかな微笑みで包み込んだ。



「珍しいこともあるもんだな。
……それじゃあ、行こうか。」



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