「……笑い過ぎだろ。」

「だって……ジャネットもけっこう言うね!」

「あぁ、フレイザーには遠慮しないことに決めたんだ。」

「なんだよ、それ。」



エリオットは何も言わず、微かな笑みを浮かべながら二人をみつめる。




「……なんだ、エリオット…どうかしたのか?」

「いや……二人が幸せそうだから……
良かったなぁって……」

「エリオット、私がこんなに変われたのは、みんなのおかげだ……
あの時、フレイザーに出会わなかったら…声をかけてもらわなかったら……今頃、私は……」

そう言うと、ジャネットは俯き小さく身を震わせた。







その晩…エリオットは、横になりながら昼間のジャネットの話を思い出していた。



(みんな、出会ったことでそれなりに良い変化があった。
ジゃネットはあんなに変わったし、ラスターだって、最初に比べたらギスギスした所が少しずつなくなって来てる。
セリナも最初はもっととっつきにくい雰囲気があったっけ……
ダルシャやフレイザーは、まぁあんまり変わらないけど……
でも、フレイザーには初めての彼女が出来た。
セリナはお母さんを無事に保護出来たし、ラスターは、この旅が終わったらダルシャに使ってもらうから、スラムに帰ることはもうないわけだし……
みんな、それぞれに良くなってるっていうのに、ボクだけは違う。
ここに来て良いことなんて、ボクにあっただろうか?
ボクは……人を殺してしまった……
みんなは気にするなっていうけれど、いくら自分の身を守るためでも、それがどんなに苦しいことかわかってるのか!?
この世界では、そういうことが罪にもならないから、ボクは裁かれない……
でも、裁かれないっていうのは、罪を償えないってことなのに……



ボク……元の世界に戻っても大丈夫なのかなぁ……)




とりとめのない想いに頭を巡らせ、エリオットはその晩少しも眠れないまま、朝を迎えた。


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