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「ねぇ…セリナは本当に大丈夫だと思う?」
「大丈夫って……護り人と会うことか?」
エリオットは、小さく頷く。
ダルシャの話の後、五人は思い思いにその場を離れた。
なんとなく部屋には戻らなかったフレイザーとジャック、そしてエリオットは、また甲板の片隅に身を寄せ、他愛ない話を始めた。
「当の本人が大丈夫だって言うんだから、大丈夫なんじゃないか?」
「……フレイザーは本当に単純だな。
俺…じゃなくて、私はエリオットが心配するのがわかるような気がするよ。
だって、考えてもみろよ。
今度会う護り人が、また何か衝撃な話をすることだってあるかもしれないんだぜ。」
「この前の話より、もっと衝撃的なことがあるって言うのか!?」
「そんなことはわからないけど……
なんせ、セリナは石の巫女についてあまり知らないんだから、さらにそういうことがあったって不思議はないだろ。」
「ラスターはきっとそういう風に考えてるんだろうね。
だから、護り人のことを嫌ってる。」
フレイザーは、感心したように頷いた。
「あいつは、感情的だし、ひねくれてるけど、セリナを大切に想ってるのは間違いないな。
あれっ!?でも、あいつって、エリオットのことが好きなんじゃなかったのか??」
「フレイザー……」
じっとりとした視線で睨みつけるエリオットに、フレイザーは肩を震わせた。
「大切っていうのが必ずしも恋愛感情に結びつくとは限らないだろ。
ラスターは、セリナだけじゃなく、みんなのことを大切に想ってるんだと思う。」
そう話すジャネットを、フレイザーは意外な顔でみつめた。
「なんだよ。」
「だって…お前とラスターはその、ずっと犬猿の仲っていうか、なんていうか……」
フレイザーは言いにくそうにそこまで言って、言葉を濁す。
「……知るか。
お…わ、私は、客観的にそう思っただけだ。
あんただって、エリオットのことは大切に想ってるだろう?」
「え…そ、そりゃあ、まぁ……」
「でも……女として好きなのは私……だよな?」
「えっ!?」
ジャネットの質問に、フレイザーだけではなくエリオットまでもが目を丸くする。
「どうした?違うのか!?」
「い、いや、そ、その通りだ。」
照れたような困ったような様子で焦るフレイザーに、エリオットは思わず噴き出し、笑い始めた。
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