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「そ、そりゃあ、あんたの気持ちもわからないでもないけど、それは困るな…」
「困る?なぜだ?」
「なんでって…そりゃあ、俺達にも叶えたい願い事はあるし…」
「皆、叶えれば良いではないか。」
「皆?
そんなことが出来るのか?」
フレイザーの質問に、その場には一瞬のおかしな間が空いた。
「フレイザー…まさか、願いの石のこともすっかり忘れてるのか?」
ラスターが、少し呆れ気味に問いかける。
「忘れてるって…願いの石は願いを叶えてくれる石なんだろ?」
「そうだけど…どんな石か忘れてるんじゃないか?」
「どんな石…?」
エリオットはフレイザーと顔を見合わせる。
「やっぱり、そうか…
良いか、フレイザー、願いの石はひとつじゃないんだ。
この大陸に一つずつ…つまり七つあると言われている。
だから、ダルシャは皆って言ったんだ。」
ダルシャはラスターの説明にゆっくりと頷いた。
「な、七つも!?
願いの石はそんなにあるのか…」
「そんなこと、誰だって知ってるぜ。」
ラスター達三人は、目を丸くするフレイザーとエリオットに苦笑いを浮かべてみつめる。
「願いの石はみつけた者が使うことにしよう。
その後は、他の仲間のために探すのを手伝う…」
「仲間…ねぇ…
あんたが最初に石をみつけたら、さっさといなくなりそうだけどな。」
「馬鹿な…!
私は貴族だぞ。
そんな恥知らずなことをすると思うか?」
「……なら良いんだけど…」
「ラスター!
そのくらいにしておけよ。」
フレイザーにたしなめられたラスターは、肩をすくめ、口端をわずかに上げた。
*
「エリオット、どう思う?
願いの石の話…」
夜の見張りをするエリオットとフレイザーは囁き声で会話を交わす。
「びっくりしたね!
願いの石が七つもあるなんて…」
「エリオット…俺、そのことでちょっと気になることがあるんだ…」
「なに?」
「……まさか…俺達が使ったあの硝子玉…
あれが、願いの石じゃないよ…な?」
「えっっ!どういうこと?!」
大きくなったエリオットの声に、フレイザーはそっと口許に人差し指をあてた。
「俺もちゃんとわかってるわけじゃないんだ。
だけど、俺達の願いを叶えたんだから、あれも願いの石だって言えるんじゃないか?」
「で…でも、僕達の硝子玉は七つじゃないよ、五つだよ。」
「それはそうなんだけどさ…」
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