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「ダルシャさん、そのお姿はねずみを見てからどのくらい続くんですか?」
「そうだな…数時間といった所だろうか。」
「数時間…ですか。
その間、姿以外になにか変化はあるのですか?」
「生魚が食べたくなるとか?」
ラスターの軽口に、再び、ダルシャの瞳が吊り上がる…
「変化はなにもない。
もちろん、生魚を食べたくなるようなこともな。」
「……そうなのか?
でも、さっきのあんたはものすごく身軽だったぜ。」
ラスターのその言葉にダルシャがハッとしたような表情を浮かべた。
「……そういえば…確かにそうだ。
私もどこか不思議な感覚はしていたのだ。」
「そうじゃなきゃ、いくらあんたの剣の腕がたつからって、ガミューをあんなに素早く仕留めることは出来ないんじゃないか?
さっきのあの飛び跳ねようと来たら、人間技とは思えなかったからな。」
「まぁ、すごいじゃないですか、ダルシャさん!
私も見たかったわぁ…」
小首をかしげ、うっとりするような眼差しでダルシャをみつめるセリナにダルシャは苦笑する。
「考えてみれば、この姿になって魔物と闘ったのは今回が初めてだ。
だから、今まで気付かなかったのかもしれないな。」
「ダルシャ、この呪いは悪いことばかりじゃなさそうだな。」
「勝手なことを言うな!」
「でも、ダルシャさん、そのお姿、けっこう可愛いですよ。
ねぇ、エリオット?」
「うん!いつものダルシャはどこか近寄りにくい雰囲気があるけど、今のダルシャはとっても可愛いよ!」
「おっ、ダルシャさんよ。
女の子達に人気が出て良かったじゃないか。」
ラスターの皮肉に、ダルシャの眉間に深い皺が刻まれる。
「あぁ〜〜〜っ!」
唐突に発せられたフレイザーの声に、皆の視線が集まった。
「今、わかったぞ!
エルフ達もその呪いの魔法を解く術を持たなかった…
それで、あんたは願いの石をみつけてその魔法を解こうって考えたんだな!
だから、俺達と一緒に来たんだろ!」
ダルシャは悪びれた様子もなくくすくすと笑う…
「その通りだ。
私は、なんとしてもこの魔法を解きたいのだ!」
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