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「あのおじいさん…レオナルドさんっていうのかぁ…」
「ごめんなさいね…あの時は私のせいで早々に引き揚げることになって……」
「ううん、セリナのせいなんかじゃないよ。」
ダルシャは、セリナとエリオットの会話には加わらず、去っていくラスターの後姿をじっとみつめていた。
ようやく、ラスターの姿が甲板から消えたのを確かめると、ダルシャはセリナたちの方に向き直る。
「セリナ……実は、さっきの話なんだが……」
「さっきのって…護り人さんの知り合いの方のこと…?
それがどうかしたの?」
「実はな……」
ダルシャはそう言いながら、先程の手紙を内ポケットから取り出し、セリナの前に差し出した。
セリナだけではなく、そこにいた四人も興味深い様子で手紙をのぞき込む。
「ずいぶん慌てて書いたみたいだな。」
まだわずかにしか文字の読めないエリオットとフレイザーにも、そのことだけは感じられた。
「まぁ……!」
手紙を読んでいたセリナが声を上げ、続いてジャネットも短い声を上げた。
「……気付いたか?」
「ええ…でも、さっき、あなたはそんなこと言わなかったじゃない。」
「もしかするとラスターが反対するのではないかと思ってな。」
「おいおい、俺達にもわかるように話してくれよ。」
フレイザーの言葉に、エリオットも何度も頷く。
「え……おぉ、そうだったな。
君達はまだ文字が……それはすまなかった。
ここなんだが……」
ダルシャは、手紙の一部分を指さした。
「えっと……こんなに崩してあるんじゃわからないよ。」
「多分、これは『人』じゃないか?」
エリオットとフレイザーの反応に、ダルシャは小さく肩をすくめる。
「君達は、もっと勉強すべきだな。
……良いか?これは『護り人』だ。」
「『護り人』?
あ、あぁ、確かにこれは『護る』って言葉だな。」
「そんなこと、わざわざ書かなくても、ボク達、おじいさんが護り人だってことはもう知ってるのに……」
「……ダルシャ……もしかして、これは『友』って言葉じゃないか?」
「そうだ。
ただ、前に親しいという言葉がついていないから、『友人』ではなく『知り合い』という意味になる。」
「あぁ…そうか……
……?え…じゃあ、もしかしたら、知り合いが護り人だってことなのか!?」
ダルシャは、にっこりと微笑み頷いた。
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