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「おーーい!わかったぞーー!」
遠くから声を上げ、息を切らしたフレイザーが皆の元に戻った。
「お疲れ様。
遠くまで走らせて悪かったな。
それで、護り人の家はどっちだって?」
「……護り人?
あ、そうか…そうだったな……
俺、イリヤの家を聞いて来たよ……」
そう言いながら、フレイザーは照れ臭そうにぽりぽりと頭を掻き、ダルシャはそれを見て苦笑いを浮かべた。
「まぁ、良いじゃないか。
イリヤの家の人なら護り人のことも知ってるだろうし、ついでにイリヤの消息もについてもお伝え出来るからな。」
「そうだよ。
ここまで来てイリヤの家に寄らないっていうのもおかしいし、ちょうど良かったじゃない。
早く行こうよ!」
「あ……あぁ、そうだな。
イリヤの家はこっちらしい。」
エリオットに背中を押され、フレイザーは先頭に立ちイリヤの家に向かって歩き始めた。
*
「フレイザー…本当にこっちなのか、どんどん寂しくなっていくぜ。」
「こっちにずーーーっと行った所にある青い屋根の家だって言われたんだけど……」
「いくらずーっとたって……
行き過ぎたんじゃないのか?さっきあった緑の屋根の家が……あ……」
不満げに話していたラスターの目が、すすけた青い屋根の家とその脇にある狭い畑にいる子供を捉えた。
「あ!あそこじゃないか?」
「え……?
あぁ、きっとそうだ!
あれだな!」
六人がその家に近付いて行くと、それに気付いた子供達は怯えた顔をして家の中に駆けこんだ。
「なんだ?あいつら……」
「さぁ?……とにかく、行ってみよう。」
見ただけで広くないことがわかる小さな古い家の前に着くと、ダルシャが前に進み出て、ゆっくりと扉を叩く。
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