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次の朝から、六人はイリヤの故郷を目指し歩き始めた。
歩いて行く度に道幅は狭くなり、通り過ぎる町と町の間隔が広くなっていった。



「なんだかずいぶん寂しい所だな。
ラスター、あとどのくらいかかりそうだ?」

「この地図じゃはっきりとはわからないが、港の東の小さな村っていったら、多分このあたりだと思うんだ。
だとしたら、もう近くまで来てると思う。
今は多分このあたりだからな。」

二人は頭を突合わせるようにして地図を見ながら、会話を交わす。



「ねぇ、ジャック……
気のせいかもしれないけど……もしかしてフレイザーと喧嘩でもした?」

ジャックは俯いたまま小さく頭を振る。



「喧嘩なんてしてない。
だけど……ノルディアを出てからどうも避けられてるみたいなんだ。
最近、フレイザーはずっとあんな風にラスターとばっかり話してる。」

「やっぱり……
ジャック、気にすることないよ。
ほら、この間ダルシャが言ってたじゃない。
フレイザーは君と仲良くする方法をダルシャに聞きに来たって。
きっとね、それが原因なんだと思うよ。
フレイザーは悩んでるんだよ。
でも、なかなか良い考えが思いつかなくて、だけど、早くなんとかしたくって…そんな葛藤で君と顔を合わせるのが辛いんだと思う。」

ジャックは腕を組み、何かを考えるようにじっと一点をみつめる。



「……エリオット、大の大人が本当にそんなことで悩むだろうか?
だって、フレイザーは俺よりもずいぶん年上なんだぜ。
男と女が仲良くなるなんて簡単なことじゃないか。
まさか、そんなこともわからなくなるなんて……」

「だ、だから…フレイザーは記憶をなくして……
ダルシャも言ってたじゃない。
今のフレイザーは初恋もしたことがない十代の少年みたいな気持ちなんだって。
そういう頃って、誰だって悩んだり戸惑うことがあると思うんだ。
大人からしたらなんでもないことを、死ぬほど悩んだりする時期だと思うよ。」

「じゃあ、フレイザーは、今、俺のことでとっても苦しんでるってことか?」

「……だと思うよ。」

「……そうか……」

ジャックは俯いて腕組みをしたまま、そのまますたすたと歩き出した。


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