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「君はまたそんなことを……」

ダルシャは呆れたような顔で、フレイザーをみつめた。
フレイザーはそれに苦い笑いを浮かべて誤魔化す。



六人は朝早くから乗り合い馬車に揺られ、夕方近くになってようやく辿り着いたノルディアという町に今夜は泊まることになった。
ずいぶんとイリヤの故郷の村には近付いたが、村までは馬車がないため、この先は徒歩での旅となる。
夕食までの空いた時間に、フレイザーはジャックとのことを相談しにダルシャの部屋を訪ねた。



「だって、わからないもんはわからないんだから仕方がないじゃないか。」

ふて腐れたようにそう答えるフレイザーに、ダルシャは頭を抱える。



「困ったものだな。
私と年齢はさほど変わらないだろうに、君はまるで少年のようなことを言う……
……まぁ、確かにそんなことを言っていても仕方がないが……
そうだな……少年に初恋の相談をされたとでも考えよう。」

ダルシャに馬鹿にされたように感じ、フレイザーは不機嫌な表情を浮かべた。



(だけど、こういうことを相談出来るのはダルシャしかいないもんな。
まさか、ラスターには聞けないし……)



ダルシャはゆっくりとワインを飲み干し、小さく頷く。




「……ありきたりだが……まずはプレゼントなんてどうだ?」

「……プレゼント?」

「そうだ。
プレゼントをされて喜ばない女性はまずいない。
愛情であれ友情であれ贈り物は気持ちを伝えるのに最も有効な手段だ。
ジャックの好きなものとか似合いそうなものをさりげなくプレゼントしてみたらどうだ?」

「あいつの好きなもの……?」



(そういえば、今までそんな話はしたことなかったな。
俺達の世界だったら、趣味とかコレクションとか皆それなりにあるものだけど、ここの人達はどうなんだろう?
ダルシャは女と酒だよな……でも、セリナもラスターもそういうものは……なさそうだなぁ……
でも、ダルシャがこういうことを言うってことは、やっぱりここの人達にも、趣味みたいなものはあるのか……)



フレイザーはあれこれと想像を巡らせる。


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