「……そうか…
そうだよな。ダルシャは信頼出来る人だって、俺も思うよ。」

「……女癖は悪いけどな。」

ラスターのその言葉に、ジャックは苦笑する。



「……ラスター…ありがとう。」

「ば、馬鹿野郎。
俺は何も礼を言われるようなことはしてない。
ただ、言いたいことを言っただけだ。」

ラスターは、焦った様子でジャックから顔をそむけ、ジャックはその様子に小さく笑う。



「……俺もそうさ。
言いたいことを言っただけ。
だから、もう一度言う。
……ありがとう。」

ラスターは舌打ちをして、その場から立ち上がった。



「良いか、ジャック。
いい加減、その男みたいな格好と喋り方はやめろよな。
そんなことしてたら、いつかフレイザーに愛想つかされちまうぞ。
ま、おまえとフレイザーがどうなろうと俺には関係ないけどな。
じゃ、俺は行くから……」

ラスターはジャックに背を向けたままそう言って歩き始め、少し歩いた所でその足がぴたりと停まった。



「あ……今、俺が話したこと、誰にも言うなよ。
特にダルシャにはな。」

「わかってるよ。」

ジャックの返事に、ラスターは照れたような笑みを浮かべ、その場から走り去った。
どんどん小さくなるラスターの後姿をみつめながら、ジャックもゆっくりと立ち上がる。



(……俺、変われるかな?)



ほのかに温かくなった心を感じながら、ジャックの顔には自然と笑みが浮かんでいた。


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