「……なんだ、そんなことか……
くだらねぇ!
だから、どうしたって言うんだ!
こんなことでわざわざ時間取るなよな!」



次の日、隣の町に着いて早々、出生の秘密を話したジャックに向かい、吐き捨てるようにそう言い残し、ラスターは部屋を出て行った。



「ジャック……気にすることはないよ。
ラスターはああいう人だからさ。」

エリオットはジャックに近寄り、優しく声をかけた。



「ありがとう、エリオット。
気になんかしてないよ。
だいたい、俺が勝手に話しただけのことだしさ。」

「言いにくかったと思うけど……話してくれてありがとう。」

「こっちこそ、聞いてくれてありがとうな。
……あの、エリオット……ちょっと良いか?」

ジャックは周りに気付かれないようエリオットの耳元で囁く。



「ん?何?」

「実は……」



ジャックは、エリオットにそれとなくフレイザーの気持ちを確かめてほしいと頼んだ。



「あの話をしてから、フレイザーの態度は少しも変わらない。
あんなことは気にしないとも言ってくれた。
だけど……俺、なんだか不安なんだ。
何も変わらないことが却って不安なんだ。」

「……わかったよ。
それとなく、聞き出してみるから任せといて。」

エリオットは小さな声でそう答え、ジャックに目配せを送る。



「……フレイザー、ちょっと町に出てみない?
買い物につきあってほしいんだ。」

「買い物?あぁ、良いぞ。」

「じゃあね、ジャック……待っててね。」

エリオットは、フレイザーと一緒に部屋の外へ出て行った。



「あら、あなたは一緒に行かなくて良いの?」

二人の出て行った扉をみつめながら、セリナがそう言って意外そうな症状を浮かべた。



「え……?
あ、あぁ……俺も今から行く所だ。」

セリナが心配すると感じたのか、ジャックはなぜだかそんな事を言って、二人に着いて部屋を出た。
エリオットとフレイザーの姿は、すでに見当たらなかった。



(商店街の方へでも行ってみるか……)

歩き出したジャックは、しばらくしてエリオットとフレイザーの姿を目にし、その場所から唐突に引き返した。



「ジャック。」

背中からかけられた声に振り向くと、そこにはラスターが立っていた。



「なんだ?」

「……ちょっと話さないか。」

「話……?」

日頃からあまり仲の良くないラスターに誘われたことで、ジャックは不審に感じながらも、言われるままに彼の後を着いて行った。


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