ダルシャを先頭に一行は注意深く森の中を進んで行く…

おどろおどろしい黒い木々は、しばらくすると不意に途切れ、ありふれた木々に変わった。
それと同時に、空から差しこむ光も少しずつ増していった。



「おかしいな…
ここまで一匹の魔物も現れなかった…」

「それに、このあたりはいやな感じが全然しないね。」

「皆、気を緩めるな!」

一瞬和みかけたその場に、ダルシャの一言で再び緊張が走った。







「おい、爺さん、本当にここは魔物の森なのか?」

さらにしばらく進んだ時、ついに皆が疑問に感じていたことをラスターがダグラスに尋ねた。



「本当じゃとも!
少なくとも、わしは親からそう聞かされ、それを疑ったことは一度もなかった。」

「だけど、ここまで来ても魔物なんて出て来なかったし、みてよ!こんな綺麗な花も咲いてるよ。
風も爽やかだし、とてもここが魔物の…」

「待て!」

不意に片手を広げ、エリオットの言葉をダルシャが遮った。



「ダルシャ、どうかしたのか?」

「あそこに小屋が…」

「小屋ぁ?どこだ?」

「あそこだ…」

ラスターは、ダルシャの肩に手をかけ精一杯の背伸びをする。



「あ、あれか!」

ラスターも木々の向こうに小屋があるのを確認した。



「どこどこ?」

「あ…あれだな!」

フレイザー以外の三人には、小屋は見つけられなかった。



「こんな所に小屋だなんて…おかしいじゃないか!
まさか、魔物が小屋に住んでるわけなんてないしな。」

「よし、見に行こうぜ!」

「待て!どんな者がいるかわからんのだぞ。
フレイザー、君達はあそこで待っていてくれ。
なにかあったら声を上げる。
それと、くれぐれも注意を怠るな!」

ダルシャは、小屋の近くの木の後ろを指し示した。



「わかった!
何かあったら、すぐに行くからな!」

フレイザーは固く拳を握り締めた。



「よし…では、行こう。静かにな…」


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