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ダルシャを先頭に一行は注意深く森の中を進んで行く…
おどろおどろしい黒い木々は、しばらくすると不意に途切れ、ありふれた木々に変わった。
それと同時に、空から差しこむ光も少しずつ増していった。
「おかしいな…
ここまで一匹の魔物も現れなかった…」
「それに、このあたりはいやな感じが全然しないね。」
「皆、気を緩めるな!」
一瞬和みかけたその場に、ダルシャの一言で再び緊張が走った。
*
「おい、爺さん、本当にここは魔物の森なのか?」
さらにしばらく進んだ時、ついに皆が疑問に感じていたことをラスターがダグラスに尋ねた。
「本当じゃとも!
少なくとも、わしは親からそう聞かされ、それを疑ったことは一度もなかった。」
「だけど、ここまで来ても魔物なんて出て来なかったし、みてよ!こんな綺麗な花も咲いてるよ。
風も爽やかだし、とてもここが魔物の…」
「待て!」
不意に片手を広げ、エリオットの言葉をダルシャが遮った。
「ダルシャ、どうかしたのか?」
「あそこに小屋が…」
「小屋ぁ?どこだ?」
「あそこだ…」
ラスターは、ダルシャの肩に手をかけ精一杯の背伸びをする。
「あ、あれか!」
ラスターも木々の向こうに小屋があるのを確認した。
「どこどこ?」
「あ…あれだな!」
フレイザー以外の三人には、小屋は見つけられなかった。
「こんな所に小屋だなんて…おかしいじゃないか!
まさか、魔物が小屋に住んでるわけなんてないしな。」
「よし、見に行こうぜ!」
「待て!どんな者がいるかわからんのだぞ。
フレイザー、君達はあそこで待っていてくれ。
なにかあったら声を上げる。
それと、くれぐれも注意を怠るな!」
ダルシャは、小屋の近くの木の後ろを指し示した。
「わかった!
何かあったら、すぐに行くからな!」
フレイザーは固く拳を握り締めた。
「よし…では、行こう。静かにな…」
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