ダルシャ達の心配をよそに、リュシーは屈託のない笑顔を浮かべた。



「実は、私は若い頃に結婚した事があったの。」

「じゃあ……もしかしたら、そのお相手が亡くなってしまったの?」

リュシーは黙って首を振った。



「彼は私より3つ年上だったから…よほどのことがない限り、亡くなってはいないと思うわ。
でも……きっと、新しい奥さんがいらっしゃるわね。」

「そんな…!
じゃあ、うまくいかなくて別れたの?」

リュシーの微笑みは少し切ないものに変わった。



「うまくいかなかったわけじゃないんだけど…」

「エリオット、セリナ!
そんな話、もうどうでも良いじゃないか!
それより、これ食べてみたか?
すっごく美味いぞ!」

「そうそう、こちらの肉もとても良い味だ。
エリオット、早く食べてみなさい。」

ダルシャとフレイザーはリュシーの話を遮りながら、エリオットとセリナに料理をすすめる。



「叔母様、ワインはいかがですか?
お注ぎしましょう。」

「え…ええ、ありがとう。」

「さぁ、フレイザーも飲め!
今夜は叔母様との久しぶりの再会に乾杯だ!」

ダルシャは、二人のグラスにワインを注いでまわる。



「ダルシャ、俺、酒は……」

「まぁ、そういうな!今夜は飲もうじゃないか!」

今までほとんど酒を飲んだ事のなかったフレイザーは、しばらくするとその場に酔い潰れてしまった。








「しかし、フレイザーは本当に酒に弱いんだな。」

「今までほとんど飲んだ事がないからね。」

ベッドに運ばれたフレイザーは、まるで子供のような顔出ぐっすりと眠っており、起きる様子は全くない。



「ダルシャ、それで、石のことなんだけど…」

「そうだ!
石の気配を感じるって言ってたな!
本当なのか?近いのか?」

「えっ!願い石がこの近くにあるの?」

セリナは、エリオットの問いに黙って頷く。



「ええ…間違いないわ。
それもけっこう近いと思う…」

「方角はわかるか?」

「こっちよ。」

セリナは、北の方向を指差した。



「こっちっていうと……
まさか!」

ダルシャの表情が変わった。



「まさかって…こっちに何かあるの?」

「こっちには、魔物の森っていうのがあるんだ。
子供の頃、ここに遊びに来た時にそこだけは絶対に近付くなって釘を刺された場所が…」


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