Order of the Phoenix-6



名前も少しでいいと同行を希望したが大人皆に却下されたので、早朝、ドアの近くまで、なんだか浮足立つアーサーと、ハリーの二人を見送った。ハリーを案じるとばかり思われていた名前が"ハリー、アーサーさんをよろしくね"とこと付けたので、ジニーとトンクスは緊張がふと解け面白くて少し向こうで笑っていた。名前はアーサーのこともだが、眠れていない様子だったハリーのことももちろん心配していた。
名前の言い付け通り、ハリーは改札でも、彼が自転車に気を取られた際も、アーサーを助けながら、魔法省までの道を進み、ひとたび足を踏み入れれば、マグルの名前が同行を却下されるのは当然と、再認識した。

「名前、お茶にしましょうか」

二人を見送り、部屋に戻る者、本部を後にする者と、空間がひと段落したところで、モリーがふと名前を誘う。ぎこちなく笑って返す名前とテーブルにつけば、ゆらゆらとカップやポットも、紅茶の湯気を漂わせながらやって来た。目を閉じて堪能する名前に笑顔を向けるモリーもまた、子供たちを襲う不安に気を許せない日々を過ごしていたのだった。

「名前、手を見せて」

手を差し出し、名前は何も警戒せず両手を出して応えた。優しく包み、視線を落とすその瞳には、憂いも見える。手の何を見つめているか、名前には察しがつく。

「ダンブルドアはなんて?」
「…移動は指を鳴らさずに、本を使えと」
「それだけ?彼らしいわね」

扉の奥、クスクス笑うモリーと、いったい何なのかと知りたがる名前の声に、フレッドは足音を潜めて耳を向ける。

「鳴らしていれば中通りのアパルトマンでも見破られていたかもしれないわ。まさかそこでも鳴らしてないわね?」
「…杖を使ってました」
「正しいわ。ダンブルドアも忠告が足りないったら…」
「そんなに危険だったの? どうして私を隠すんです?」

「秘めている規模が知れないからよ。どうってことない魔力にも、警戒すべき魔力にも、あなたは今両方になり得るの。
もっと敵に知れて露わになれば、手段を選ばずに奪いにくる可能性だって……、…
…まったく、どこでそんな技法を」

そう話し包んでいた名前の手をきゅっと握るモリーの笑顔は、寂しそうにも見えた。思い違いであってほしいモリーと、力を得てほしいシリウスといったところなのだろうと、名前は今全貌を少し知った。
ただ"かっこいいから"と、あの小さな塔で習得に励んだに過ぎないものが、このような事態に発展するとは思いもせず、知れてよかったという思いとともに、若干の絶望もよぎった。
それは聞き耳を立てるフレッドも同じで、塔でともに過ごす時間を思い返しながら、もしものほうに彼女がなったとき自分などでは何もできない可能性もあるのかと、人知れず息をのんだ。

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