Order of the Phoenix-3



ハリーの、守護霊の呪文の行使により、退学処分通知が届いた夜、ダーズリー夫妻がダドリーを診せに三人で出たのを見計らい、ムーディをはじめとする魔法使い達がハリーの部屋へ静かにやって来た。ハリーを連れ足早に外へ出てムーディが杖で二回地面を突くと、草陰から各々のホウキが、各々の手元へ飛び出した。

「いいか皆。誰かが殺されようと隊列を崩すな」

一気に緊張が走る。本部に着いたら話す、と投げられるトンクスの言葉も、すべてにハテナを飛ばしながら、ハリーはとにかく皆へ続き空を駆けた。向かいの家の窓からは、フィッグが心配そうにそのあとを見つめていた。
着いたのは、住まうマグルたちも多数の窓からうかがえる建物のふもと。ムーディの合図でその建物は、ゴゴゴ…と微妙に振動を起こしながら縦に一列、ゆっくりと増設したようにフロアを出現させた。

"… ダンブルドアを信じろ"
"今こそ行動を起こすべきだ …―"

狭い通路を抜け、目指す扉の向こうからはすでに集まっているらしい面々の声がする。先に入ったメンバーの後を恐る恐るついていくハリーから、扉の向こうがようやく見え、アーサーやルーピンなどの知ってる顔のほか、シリウスを目に入れるとやっと緊張を解き、安堵の笑顔を見せた。話をやめこちらをうかがう大人たちと一度遮らせるかのように、モリーが駆け寄り、手早く扉を閉め、ハリーを抱きしめた。ハリーの頬を両手で包んで微笑む。

「やせた?夕食は会議の後よ」
「会議って?…」
「だめ。 話は後よ。部屋は上がって左」

口調こそ軽いがまるで扉の向こうに触れさせないというように制されるので、ハリーも聞くのはやめモリーの差すよう階段を上がる。笑顔を押し通すが、背中を見送るモリーの表情は心配に満ちていた。

ハリーはその屋敷しもべとゆっくりすれ違いつつ、通された部屋ではハーマイオニーとロンに合流できた。嬉しい再会もディメンターとの一件や退学文書のせいで深刻さのほうが勝る。
ここが秘密結社"不死鳥の騎士団"の本部であることを、そんな空気のまま告げられる。ダンブルドアの指示でハリーにだけは内密に進められていたことも。

「ダンブルドアが?…なぜ僕だけのけ者に?
ヴォルデモートの復活とセドリックの死を見たのに…―」
「ハリー!」
「!!」

甘い声だな、と突如姿現しですぐそばに掛け肩を叩いたのは、すでに企み顔を浮かべるフレッドとジョージ。"伸び耳"で、下の階の会議の盗み聞きを企てたが、おもにハリーを重んじる主張と、"スニベルス"と圧する声と、すごく大きく捕らえたクルックシャンクスの声。

「(クルックシャンクス…! だめよ!)」

伸び耳はぶちっと髪切られクルックシャンクスのおもちゃに。会議の真相は不明なまま、夕飯へ呼ぶ声がかかった。再び面白おかしく姿現しですぐそばにやって来たフレッドジョージを、モリーが叱る。
やっと開ききった扉から、皆がハリーへ声を掛ける。
シリウスとの再会を喜んでいると、もうすぐ揃うはずだ、と話される。

「ほかにも誰か来るの? …」
―パタン、―

ふと何気なく、一度は引っ込んだフレッドジョージが再びこちらを覗く。ハリーがシリウスに問い掛けたと同時、彼も少し前に入って来たドアを静かに閉めここに着いたのは、名前だった。トランクを引きこちらを向くと、安堵したように笑ってみせた。

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