Goblet of Fire-27



悲しい知らせを告げよう。大切な友を失った。
名前は悪い予感を抱かせながら黙って目を向けるが、続けられる言葉にその目はダンブルドアをうつすのをやめ、光を無くしいっぱいに涙を浮かべる。衝撃にこらえる名前の息を落ち着かせようと友は自分も涙を流しながら、名前、と優しく声を掛ける。

「セドリック・ディゴリーは知っての通り勤勉で、正義感にあふれ、何にも増して誠実そのものの友だった」
「…… セドリック…?…」
「死のいきさつは友として知る権利がある」
「うそ……そんな…!… 嘘ね…?」

名前は少しもこらえずに泣いた。亡きセドリックの身におこった出来事を語るダンブルドアの声のほかには、後方から名前の泣く声だけが広間に響く。
たとえ国や言葉が違っても心はひとつ。ダンブルドアは名前から二校の席へ目をうつし、静かに続けた。

「この一連の事件で、我々の友情の絆は今まで以上に重要なものとなった」

フレッドジョージは、後方の名前を振り返る。悲しみに打ちひしがれ、倒れ込みそうになりながら泣き、手首まで包帯を巻いた両手で顔を覆う。泣きわめく名前を支え背中を擦る友も、寄り添うマダムポンフリーとともにつらい表情で涙を流す。

ジョージはただ視線を落とし、フレッドは顔に手をやり項垂れ、数年前のように名前の歯止めとなろうとせず、ただ溝を深め続けた日々をとにかく悔やんだ。数えきれない出来事を共にしあんなに笑顔を交わしたというのに、今となっては、あのように傷付き悲しむ名前に向けて、自分が何の言葉ならかけることを許されるか、何をしてあげられるというのか、分からずただただもどかしかった。

「思い出を胸に刻み、今一度セドリックをたたえよう。
思いやり深く、正直で、誠実で勇敢じゃった。最後の最後まで…」

名前は自分の嗚咽の狭間に耳に届くダンブルドアの言葉に、鮮明にセドリックの声も、笑顔も思い返した。彼が亡くなるなんて、あってはならない。いつだって仲良く接してくれた彼だが、まだまだたくさんのことを話したい、笑顔を交わしたい。そうだというのに…

姿を見せていなかった名前が事実を今この瞬間知ったのは、誰の目にも一目瞭然で、セドリックの死を悲しみながら、彼女を襲う悲しみが如何程のものか、周囲は案じた。目を閉じ涙を流すハーマイオニーの隣、後方の名前の悲しむ声を受け止める思いで、ハリーは前へ真っすぐに目を向けていた。


ダンブルドアは、医務室と、グリフィンドール男子寮、どちらも訪ねていた。友が居るということを忘れるな。そう同じ言葉を告げたが、受け止める様子は、ハリーと名前では大きく違い、ハリーには戸惑いが、名前は今にも否定しそうな表情がうかがえた。

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