Goblet of Fire-26



バーティ・クラウチ・ジュニア。ダンブルドアが名を告げると、腕の印を見せつけハリーの傷を見せるよう言い渡した。ダンブルドアは早急にハリーの傷に手を伸ばす。痛がるハリーに目もくれないさまが、事態の深刻さを漂わせる。男だけが得意げに笑い、ダンブルドアは、絶望にも見える表情で黙った。

「意味は分かるな?あの方が、よみがえられた」

「……―アズカバンへ告げよ。脱獄犯を捕らえたと」
「英雄の凱旋だぞ!」
「闇の世界に英雄はおらぬ」

マクゴナガルは名前を、ダンブルドアはハリーを支え、部屋を後にする。どこか楽しそうな男が更に言いたそうと身を乗り出すのを、スネイプが素早く杖で制した。夜の城の廊下にマクゴナガルに支えられながら歩く名前の、震える息が小さく響く。

「名前、しっかり。医務室へ行きましょう」
「…、…、」
「……怖い思いをさせたのを謝ります」

ぴりぴりと、震える口角に傷の痛みが走る。指の傷にひびかないよう、そっと
両手を包み送られる言葉にも、名前は首すら振れないほどに、捕らえ、狭く暗い戸棚に閉じ込められた恐怖に、解放された今も襲われ続けている。名前の震えはマクゴナガルが寄り添う間、やむことはなかった。


……――

明るく日の射す広間の手前、友人の数人は名前が来ないか、時間ぎりぎりまで待っていると、まだまだ滅入った様子の名前が、マダムポンフリーとともにやってきた。広間には全生徒が集められ、ダンブルドアの登壇以外は整っていた。みんな、と名前が小さく話すと、弱り切った姿に感情がこみ上げ友人は表情を歪めた。

「名前…」
「私と後ろに座りますから、あなた達はお行き」
「私たちもいっしょに居ます」

一人は、名前をゆっくり抱き締め涙を見せる。再会に感極まるようにも別の要因にも見え名前は少し戸惑う。マダムポンフリーも、口をつぐみ視線を落とすだけ。一人が鼻をすすって、意を決すように口を開く。

「名前…あのね、…」
「君がその荷を背負う必要はない」

ふと言葉を遮ったのは数歩先に現れたダンブルドア。笑みのひとつも見せず名前を静かに見つめている。校長、と漏らすマダムポンフリーへ少し頷いて、歩み寄った。

「名前、皆へも、わしがこれから話す」

広間へ誘導される。名前の姿に安堵や悲痛の声があちこちから少しあがるのを聞きながら、皆もうすでに集まるより後ろの席に、マダムポンフリーや友人たちとともに、名前は座った。友人はずっと、名前の背中に手をやりそばについた。
ダンブルドアも登壇後、椅子に掛け、やるせない様子で言葉を選び、悲しい知らせを告げようと、話しだした。

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