Goblet of Fire-25



暗がりからこちらを見るムーディの様に、ハリーは名前と寄り添いながら、思わず身を凍らせる。

「嗅ぎ付けた小娘など時期を間違えずに殺せば問題ない…
あの方がどんな褒美をくださるか…俺がこの手で…!ハリー・ポッターを永遠に黙らせたと知ったら…!」

ゆっくり距離を詰められ名前を庇いながらハリーは部屋の角に追いやられる。体に幾度と走る魔法薬の波に耐えるようにブルブルと頭を振りつつ近まるムーディの顔は、恐怖そのもの。動けなくなったハリーに杖が構えられた瞬間、扉が勢いよく開きダンブルドアの声が響いた。

「エクスペリアームス!!」
「「!!」」

椅子まで吹き飛んだムーディを、足早にダンブルドアが抑える。呼び声にいち早く答え、後に続いたスネイプがムーディの口に真実薬を流した。マクゴナガルも目を見張りながら、同じくムーディへ杖を向ける。
あっという間に三人に取り押さえられた奥、ハリーは慌てて名前に向き直り口のロープを解いた。大丈夫?と小さく問いかけても、目を瞑り震えることしかできない名前の、口の両端にロープの小さな傷が無数についている。

「わしは?」
「…ッッアルバス・ダンブルドア…」
「お前はムーディか!?」
「違うぅ…!!」
「本物はこの部屋に? この部屋に!?」
「……」

ムーディの目を追いかけた全員の視線が、部屋の隅の箱にたどり付く。

「ハリー、名前、どくのじゃ!」
―ガシャン!!―

ハリーが名前に寄り添い皆の背後へ回ると、マクゴナガルがハリーに代わって名前の肩を包む。同時に、スネイプの杖によって箱の鍵が解かれると、何重にも施された錠がみるみる解かれ幾重にも組み込まれた箱の、最後が開いたところで三人は恐る恐る中を覗き込んだ。

「アラスター、無事か?」

中へ問いかけたダンブルドアの声はよく響き箱の深さを物語る。小さく"すまん"と返された、本物のムーディの声も極めて遠い。いつ奪い取ったのか、ムーディがいつも手にしていた瓶はスネイプが持っており、スンと鼻に近づけた。名前が材料の匂いを嗅ぎ分けた通り、中身はポリジュース薬だった。
うめき声をあげる偽物に皆が振り返ると、効力がなくなり始めもとの顔からみるみる変形していた。

「ア゛ア゛ァ!!! ……―…」

元の姿に戻ったその男は、顔をうつむかせたまま舌をなめずり、皆を一人ずつ睨み上げた。覗き込んだハリーにとびかかろうと声を荒げるものの、教員たちがさせまいと抑え込む。マクゴナガルは名前に目をやると、男に目を見張っている。男はそんな名前に、不気味な笑みを向けた。

「サプライズだ お嬢さん……!」

支えるマクゴナガルの手に伝わる身の震えは悪化した。やはり夏に見たこの男に、こちらを認識されていた。

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