Goblet of Fire-20



第二の試練が数日後に迫った夜。ハリーら三人は卵の謎に苦戦し図書室に缶詰だった。
なんとか解き明かそうと焦るハーマイオニーの声をムーディが静かな調子で遮り、ハリーには休息を、二人にはマクゴナガルの元へ急ぐよう告げた。
不服そうに後にするロンとハーマイオニーを見送り、ムーディはハリーのそばに歩み寄ると、声を潜めた。

「……名前は?」
「…? 名前?見てません。なぜ?」
「いいや。  …ロングボトム!」

少し周囲を伺い、ハリーに目を向けたまま今度はネビルへ、ハリーを手伝うよう指示し、後にする。不自然にも自然にも、彼がとる行動であればおのずとどちらにも見える。苦戦していたところエラ昆布の有益情報を得たのも、不自然にも、偶然舞い降りた幸運にも、どちらにも見える。ハリーはその収穫の喜びに、名前の所在を尋ねられた不自然さを、聞き流してしまっていた。

…――

「…名前のやつがこれを?」
「あぁ。舞踏会の日に」

第二の課題当日。湖のほとりで賭けの鞄を用意しながら、ジョージから受け取った惚れ薬メモの紙切れをフレッドは受け取る。その内容は完璧でメモの全てがかゆいところに手が届く、いつも通りの名前の手にかかった仕上がりだった。フレッドはそうかと呟いてメモをポケットへしまう。ジョージはそれを眺めて、さぁやるか、と鞄のベルトを首にかけるが、どこか前回よりうしろめたく感じるのは、名前と話したこともあってか。だが今日もまた名前とのわだかまりのもとを手に取るのは、ジョージはフレッドと同じ性分だからだ。
フレッドが、まぁ俺も?と口にしながら立ち上がり、会場を目指しチラホラ降りて来だした皆を迎えるよう二人、歩き出した。

「姿は見た。話なんかしてないが」
「だろうな。俺は綺麗な名前と話しもした」
「あぁそうかい」
「さあ! 賭けた、賭けたー!」

気を取り直したというのに、中腹で実の妹に肩で突き飛ばされ名前のような視線を向けられる。一瞬二人そろって押し黙るも、合図するかのように、もう一度、気を取り直して声を上げた。名前本人といえば、ジョージとあの日少し話しはしたものの、不謹慎さへの嫌悪を拭えるわけなく、まだ二人が遠いうちからその嫌気に首を横に振り、皆の列から少し外れて、友人たちとともに会場を目指していた。


……――

「あら?名前?」

湖の中央に三つ立てられた観覧用の塔。友人らは姿を消した名前に驚き少しあたりを見回した。名前が一度そこに立った際、すぐそばでフレッドジョージと、フレッドの横に楽しそうに臨むアンジェリーナが見え、苦しくなる胸に咄嗟に目をバッと逸らしてそのまま、違う場所で見ようと友人に構わずそこを後にしたのだった。ダンブルドアの大きく響く音声に紛れながら辿り着いた先は水面に近く、周囲にネビルやディーンと、ハリーの友人らが居る。打ち上げられ開始を告げる大砲。歓声に包まれ、選手が勢いよく湖へ飛び込んだ。

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