Goblet of Fire-9



火の玉によって二人は名前の立つそばまで吹き飛んだ。名前は二人を目で追った大勢の視線にぎょっとして急いで隅へはける。騒然とした広間にはやがて笑いが起きる。二人が髪も眉毛も、長いひげまで真っ白なお爺さんになってしまっていたからだ。大笑いの渦中、二人は自分の顔を信じられないと少し触れて、取っ組み合いを始めた。

「お前のせいだ!!」「お前こそ!」
「私のせいね…」

歓声の中心でつかみ合ってる二人に気まずそうに名前は目を泳がせて、とりあえずそのへんに腰掛けると隣には本を広げるハーマイオニーが。関与したそうね、と言いたそうな目を向けるが、名前は訳も分からず不自然な笑顔を返すことしかできない。十歳でいいって言ったろ!!と二人の大声が合間に耳に入りビク!とそちらを見るが努めて平然を装う。ハーマイオニーには先に知られてしまっているが、名前としては誰にも、協力者であるとは知られていない"てい"だ。
実際 名前の調合の比率に誤りはなく、ハーマイオニーの言う通り、ダンブルドアには通用しなかったということだ。

賑やかな広間も、クラムがゴブレットに近づくことで静けさを取り戻す。羊皮紙を入れ、名前の隣のハーマイオニーへ視線を向けたのは気のせいか、今度は名前が彼女へ、不思議そうに目を向けた。



…――

「ったく大変だったんだぞ、名前」
「桁でも間違えたのか?」
「ごめんなさい」

期日の木曜日、広間に足を運び何気なく話す三人。名前は二人が選手になれない結果となったことのほうが喜ばしく、フレッドの挑発にも反論せず、だが反省の色は少しも見せないまま、素直に謝った。他に頼んでるのは間違うなよなどと言われ、今度は反論しようとした矢先、ダンブルドアの声が皆を制した。

「着席」
「!ほら座れよ名前!」
「、」

声の瞬間、一番近くの空いた席にフレッドが座れた勢いで、向かいの椅子に座らせようと名前の手を握り強制的に座らせられる。彼も、その横のジョージも、ゴブレットが選出する結果の発表を待つ表情で視線をダンブルドアへ向けていて、手とフレッドを見て慌てているのは名前だけだった。

「待たせたが いよいよ、代表選手の発表じゃ」
「 ……」

座っても、ダンブルドアが話し始めても握ったままの手に落ち着かず、ダンブルドアが広間のそれぞれの灯りに手をかざし火を小さくする間、名前が気まずそうに少し手を引っ込めるとやっとフレッドが振り返り、今気づいたというようにこちらもなんとなく手を離した。

ダンブルドアの手はそのまま、ゴブレットへ添えられる。皆が見はまる中、数歩ダンブルドアが後退すると、火はゴウ、と色を赤に変え、一枚の羊皮紙の切れ端を舞い上がらせた。
ダンブルドアはそれを読み上げ、選手の一人目を発表する。

「ダームストラング校は、ビクトール・クラム!」

ダームストラング校のかたまる席を中心に、歓声と拍手が起こる。クラムは友人たちと喜び合い、前へ出た。
ボーバトン校はフラー・デラクール、ホグワーツはセドリックと、三校の代表が選出され、よろしい!とダンブルドアが両手を広げる。フレッドが盗み見た名前は、彼らに拍手を送りながら、歓声にわく周囲とは違い、浮かない表情だった。クィディッチでもあんな様子の名前をよく知る彼は、なぜだか全く分からないわけじゃなかった。

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