Goblet of Fire-8



別の学年の授業で使用された直後、名前は調べものの資料がないかその部屋の棚を物色したかったので足を運んだ。置かれっぱなしのミミズや大きさのおかしい虫たちの瓶のそばではなるべく影響しないよう、自然と足音を立たせずに通過した。本のタイトルに指を沿わせ、巻物を手にしたところで、大きな足音が部屋に踏み入った。振り返るとアラスター・ムーディと、顔色の悪いネビルがやって来た。

「そこで何している!ここはもう今日の授業は終えたぞ!」
「、探し物を、…海洋魔法生物の本はありますか」
「無い!去れ」
「…」

ずかずかと歩いてくるムーディとすれ違う狭間、ネビルに大丈夫?など聞いていたら、ムーディは突然"おや?"と名前を指をさしてグル!と振り向いたので名前も慌てて止まった。彼の瞳と、義眼がまっすぐに名前を見る。窓の外の雨も相まって名前は少し動けなくなる感覚を覚えた。ムーディは一瞬、ニヤと口角を上げる。

「何か匂いを変えているな?名前」
「……、私は確かにマグルですが」
「そうじゃない」

詮索をやめ、図書室でも尋ねなさいと言い捨て、再び一定でない大きな足音を立て歩き出すムーディ。ネビルは匂いと聞いて名前の香水か何かの話かと思ったが当人には意味は正しく伝わっていた。交互に見るネビルに少し挨拶をして、言われた通り名前は、この教室内の捜索はやめることにした。


大広間では、青く光り揺らめくゴブレットの炎を数人の生徒が囲ったり、署名した羊皮紙を入れたり各々過ごしている。セドリックも、外からやって来たのだろう濡れた髪もそのままに、友人たちとワイワイやって来て、やはり紙を入れた。そうした生徒に向けてほかの生徒から自然と、拍手が起きる。
だがもっと賑やかに広間へ走り込んできたのは、彼らだった。

「「やろうぜ!!」」

ありがとう、ありがとう…などと言って生徒達とハイタッチを交わす、フレッドジョージ。フレッドは片手の小瓶を自慢げに上げて見せた。

「ついに完成したあれを飲むんだ」
「老け薬をね」
「効かないわよー、」

視線も寄越さず応えてみせたハーマイオニーにまるで獲物を見つけたような目を二人合わせて、両隣にどか!とやってくる。

「なぜだい?」
「これを見て。"年齢線"よ。ダンブルドア先生が引いたの」
「だから?」

ニタニタと、順に聞くジョージフレッドにハーマイオニーはだんだんしびれを切らしだし、だから!と返す言葉も強さを帯びる。

「そんな子供だましの薬には乗らないわ」
「子供だまし?」
「名前監修でもそう思うか?」

誰監修って?としかめるハーマイオニーを気にも止めず二人はケラケラ笑って一番目立つところに二人並んで登り、瓶を元気に振る。
そろそろ名前を入れてしまう頃かと、名前も広間へやってきた。二人が参加するのは微妙な心境だが協力した物の行く末を見届ける好奇心とは、まぁ別問題であった。前のめりに、輝かせた目を見開いてみる心境だが、平然を装い、彼らに注目する誰の目にも留まらないよう広間の奥まで足を進めた。

「やろうぜフレッド!」
「やろうぜジョージ」
「「飲み干せ」」

景気よく互いの腕を交差させ、グイと瓶を傾けた瞬間は、名前も固唾をのんだ。ジャンプして年齢線の先に飛び降りた二人の身には何も起こらず、間を置いて歓声があがる。名前のことなど当然気付いていたフレッドが、沸く皆の隙間からガッツポーズを名前に寄越したので、ぎこちなく笑って返した。気を取り直してふたたび静まり返る。羊皮紙をゴブレットへ入れ、また同じく間を置いて喜びかけた途端、
ゴブレットの青い火玉が皆の顔の前を音を上げて飛び交い、フレッドジョージに直撃して広間の奥へ吹き飛ばした。

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