06



協力の真相は、決して名前は待っていなかったが、そう待つことなく明かされた。いつも通り友人と逆方向へ向かい、あの部屋を目指して階段を駆け上がったとき、踊り場の手前に二人は立ちはだかっていた。思わず少し大きくなってしまった名前の悲鳴と、二人の"しっ!"が重なるが、すぐに彼らの人差し指は解かれ、にこやかに"どうぞ"と踊場の奥へ誘導された。この二人はいつも出て来方が悪いと、各・ひと睨みして通り過ぎ、定位置の窓辺へ座れば二人もそれに続いた。とっておきの場所だったのにという気持ちと、ここへ来るのをやはり読まれていることとで、名前は今日も不服そうだった。

「協力なんて出来ないと思うけど、聞いたほうがいいんだよね?」

フレッドと目配せして、ジョージが意を決したようにローブの内ポケットからそれを取り出し、恐る恐る名前に寄越した。つられて名前も少し慎重に、素直に受け取る。折りたたまれた、広くて古びた羊皮紙だった。

「名前。何に見える?」

聞くジョージの目は真剣に、隣りのフレッドも唾をのむようにして、名前の目を見つめて言葉を待つ。二人の表情を不思議に思いつつ、名前は改めて素直に答える。

「何かの…招待状かなにか?手紙ではないね。」
「「!」」

「こうやって折ってるってことは、こう開くって想定してて…、こっちが表紙でしょ。いつもこう折られてたってことは、昔からよくポケットに入れられていたのかな?本に挟んだりしてれば、端の傷みはもっと違うふうに……」

「「さすが俺たちの名前!」」
「何よそれ!!やめて!!!」

手でも握りそうなほど乗り出してキラキラと輝かせた二人の目も束の間、名前が間髪入れず、しかもあまりに嫌そうであったため、気まずそうにしぼんでいった。二人を横目に気を取り直して、名前が再び手元へ目を落とすと、フレッドが口を開いた。

「これについて、大好きな怪しい店で何か聞いてないか?なんだっていいから!」
「……」

名前は合点がいき、ゆっくり顔を上げフレッドを見る。どうなんだよ?と急かす表情のフレッド。同じく聞きたくてたまらないという顔のジョージを見たところで、名前は溜息をついた。なぜ目を付けられたのが自分であったか、さぼるのを企んでいようが放っておけばいいものを、尾行してまで頼み込みたいのがなぜ自分なのか。"大好きな"あの薄暗い店々へ行く変わり者は、聞くところによれば限りなくゼロに近いのはもう認知していたがこの二人の耳にも入っていたか。"大好きな"という言い回しもなんともおちょくっているように名前には捉えられ良い気はしない。とにかく、

「二人も私を面白がってたってことね」

「面白がるだって!?」
「名前を?まさか!」
「こんなもってこい…じゃなくて」
「物好き…でもなくって〜」
「「ふさわしい!!そう!!」」

組むのにこんなにふさわしい子がいるか!
フレッド、ジョージの順に取り繕い表情をいくら輝かせたところで、口から出てしまった言葉を取り換えるにはもう遅く、名前は何を言われてもなびく気はありませんというように、呆れた顔で目をやるだけ。勢いそのままに、再びフレッドから訴えかける。

prev | top | next















×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -