05



「さ、全員揃ってますね。……おや名前は?ウィーズリーの二人も」
「そ、それがそのあの、名前もあの後飛んでっちゃって」
「「居たよ〜!」」
「!」

「見失わないように咄嗟に追いかけたんですよ!」
「僕とフレッドでもぎりぎりでした!」
「よかったよな〜、ありがと!教えてくれて」
「あのまま行ったら暴れ柳か」
「禁じられた森か」
「それか湖にドボン」

芝生に降り立ちずかずかと先生へ歩み寄る二人。身振り手振りで作戦を遂行してくれていた友人の肩をポンと叩いて経由してから、言い終えると同時に箒を誇らしげに構えて先生の前に並んだ。
友人と名前はきっと同じ顔で固まっている。先生はきっと何らか怪しいことは察知したが、笑顔のこの、まだ一年生ながらしっかり問題児である二人に、何を言っても無駄と考えたため、少し考えて二人の間から呆れた顔を名前に向けた。

「そうですか。飛ぶのが得意な友達が駆け付けてよかったですね名前。さぁ並んで。授業は終わり!箒に乗らずにまっすぐお戻りなさい」

校内を目指して歩く間友人には説明を求められたが、計画は成功というよりは失敗だとか、自分もよく分かっていないとしか言いようがなく、とにかく名前はお礼を言った。今度は別の、一人でできる方法でねとわざと笑って駆けていく友人と入れ替わるように、両脇に奴等がジャーン!とでもいうようにやってきた。再びビクついた肩にも、名前は自分でうんざりした。肩と同時に、箒を握っていた両手に力がこもるし、悪態にもなる。

「「ほーらうまくいった〜!」」
「……一体なんなの?あの塔が知れてご満足?」
「塔?塔よりも俺とフレッドは」
「あぁ。名前の思惑が予想通りでご満足。」
「企んでたよなぁ。飛行訓練のたんびに」
「来る日も来る日も」
「だめだよ〜名前。作戦計画の鉄則は」
「"誰にも気付かれないように"だ」

名前が両隣の頭上から感じた鬱陶しさがみるみる驚きと不安に変わっていった。すべて見透かされていた?その鉄則だって守っていた筈だったのに。自分は客観的に見るとそんなに分かりやすいのか、自覚がまったくなかったことを恥ずかしくも感じだしたが、エキスパートである自分たちしか気付いていないから安心しろと、これもまた見透かすように添えられた。安心どころかフレッドがなだめるようにトトンッと頭をはたいたことと、見透かされすぎていることで、名前の心に「不機嫌」と「警戒」が蘇る。だが

「……助けたことにうまくしてくれたのは、ありがとう」
「そのせいで名前は箒が下手ってことになるけどね」
「その腕前なら取り戻したいときに取り戻せるさ!お礼はいいけど、」

「「協力のほうは、よろしく」」

ぐっと言い聞かせるように近づいた二人に思わず立ち止まると、箒を握る名前のそれぞれの手に二人は拳をぽんっと合わせて、音符でも飛ばすように足取り軽く校内へ行ってしまった。
まだ何も聞かされないまま、助かりはしたが勝手に助けられ、名前は悪徳商法にでも捕まった気分で、その場に立ち尽くした。

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