Goblet of Fire-2



名前が来たときよりも人手が増えテントの数も倍増した。女の子達の元まで駆け寄ると以前よりすっかり大人びたジニーが笑顔を返し名前の手を握る。ハーマイオニーとも二三、言葉を交わし、人々の様子に頬を上げる。頭上は箒で飛び交うユニフォーム姿の魔法使い。ワクワクする気持ちが胸のあたりからあふれ出し笑顔を作り出しているような心地を、名前はジニー達と歩きながら実感していた。

セドリック達と分かれ、名前はウィーズリー家と同行する。テントをくぐれば魔法のその中は外観よりも広く広く、最後に入ったハリーはその魔法に見はまっていた。名前も同じようにテントの上までゆっくり眺めていたが、すぐに端のテーブルを陣取ったフレッドジョージに呼ばれ手招かれる。

「ロン、一人でガッつくな」
「「一人でガッつくな、ロン!」」
「行儀悪いぞ!」
「「行儀悪いぞ!」」

二人して長い脚をテーブルに置き、父の目が離れればまた乗せてくつろぐ、二人の姿を"いつもこうやってロンをからかって、家族を躱してるな"と少し笑いながら、名前が素直に近付けば、二人とも前のめりに名前に身を寄せたのでどのみち足は下された。ジョージがフレッドのほうに寄って椅子を少し空けてくれたので、名前も浅く座ってテーブルに肘をつき寛ぐ。

「名前、あれはどうなった?」
「あれって?老け薬?惚れ薬?干し草の原料?粉の売ってる店?」

待てないというように聞くフレッドに冷静に名前が返せば、あー…全部。とジョージがにかりと笑う。難易度とともに依頼案件の数まで増えてきて、名前としては難しいのと探し甲斐があるのと半々だった。あの塔で忍びの地図をいっしょに解明したときの幼い姿とも全く違えば、頼まれる物事の物騒さ・とんでもなさも同様だった。

「出来てたら教えるったら」
「絶対だぞ。学校でも外でも場所を問わず」
「はいはい」 「ねぇ名前も来てよ!」

笑って答える名前と同じように笑うジョージと、さらに言い聞かせそうなフレッドの開きかけた口をハーマイオニーらの声が遮った。名前も名残も何もないというように元気に彼女たちのもとへ去る。学校でやっているように名前と話したいのにさっきから取られてばっかりだと、まるでそう話すような不服そうなフレッドを、ジョージは分からないようにうつむいて笑う。名前はと言えばベッドに腰掛け、女の子たち三人で、すべてが楽しそうにきゃっきゃと笑っていた。


夜、テント村から少し先、歓声に溢れるスタジアムは輝かしく、広大で、圧巻だった。アーサー達に続く間、名前は目に飛びこむ花火や無数のライトで表情をキラキラさせ、いっしょに席を目指した。
階段を上る途中、フレッドジョージにならって手すりから下を見下ろせば、その高さに三人顔を合わせて息をのみ、彼らに至ってはペイントを施した、互いのその表情を笑い合った。観戦の熱気やムードに包まれ、異国の装いの人、プログラムを手に入れる人、席を目指す誰もがみな笑顔だった。後ろではロンが"どの席まで登るの!?"とアーサーに声を上げている。

「こう考えろ。雨が降ったら最初に分かる席だ」

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