Goblet of Fire-1



「「命拾いしたって?」」
「ええ、二人にはお礼を言わなきゃ。あの監禁エジプト香水。本当に助かったの」
「監禁が助かったって、また何かしてたのか…?」
「名前、中はどうだった?香水の幻が俺をうつしたろ?」
「フレッドを?なんで?」
「"運命の人"をうつすから」
「フレッドじゃなくて瓜二つの俺に見間違えた可能性は?―」
「私が?」
「名前に限って有り得ない」

「そう。それに"運命に関わる人"よ。誰だか分からなかった」


「……」

名前は遠くにちらほらと立てられるテントを眺め、原っぱを踏みしめながら、帰郷の汽車での彼らとの会話を思い返す。得意げなフレッドも割って入るジョージも、閉じ込めるカラクリほどにその先に興味を持たなかったようで、正しく名前が調べたものとは似て非なる内容を口にした。名前は幻の中で、寝そべって見上げた風景を鮮明に覚えている。顔に二回、片足に一回、星が駆けたあの人型に当てはまる、"運命に関わる人"が分かる日はくるのか。
例年より早く、駅でなく別の場所で友と会えるのがとても嬉しく、自然と笑みをこぼしてリュックを背負い直した。

テントを立てたり、クィディッチワールドカップの応援の準備に忙しい人を背に、ここなら見晴らしが良いと、少し丘になったところで彼らの到着を待つ。見知らぬ人たちの笑顔や、反対側の広大な荒野を、気ままに眺めていると、複数人がこちらを目指しているのが少し遠くで目にとまった。さっきまでは誰もおらず突如現れたのを見るに、ポートキーだろうかと少し胸をワクワクさせて、名前も合流するよう、そちらを目指した。


「"クィディッチ・ワールドカップ"にようこそ!」

同行する皆に向けて、セドリックの父が両手を広げ声を張る。横でフレッドが、名前をすぐに見つけ顔をパッと明るくした。

「フレッド!」
「名前!父さん、名前だ」

口々に名前の名前を呼び、再会を喜ぶ表情を見せる。手を振りながら無事合流し、アーサーと握手を交わす。

「やぁ名前。会いたかったよ」
「私もです。ありがとうございます、私も招待してくださって」
「息子たちは君をいつも困らせてやしないかな?」
「  、いいえ?」
「優しいんだね」

さぁ、行こう!ポンと名前の肩に手を置き、アーサーは歩き出した。次は俺たちだと嬉々として名前のそばをフレッドジョージが目指した矢先、名前、とセドリックが遮った。
アーサーから名前が振り向いたのは、笑顔で本を差し出すセドリック。久しぶり、と会話もままならないまま、受け取り目を落とした。『魔法動物大図鑑-海編T』の題名に、名前は表情を輝かせた。

「これ…!?」
「いつもUとVを見てたからもしかしてって。あってたか?」
「…!借りてもいいの?」
「あぁいいよ。好きなだけ」
「… ありがとう…」

あまりに感激する名前につられるように笑って歩き出したセドリックの背を、笑みのまま眺めて、胸に本を抱きしめて名前も歩き出す。一言も話せないまま立ち尽くしたフレッドジョージはゆっくりと目を合わせ、一連の様を鼻で笑うように同じ表情で"のみ"、言葉を交わした。

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