Prisoner of Azkaban-11



「ハリー、」と間に名前がズイと割り込みハリーを見上げるので、二人は不服そうに一歩後退した。

「この先輩たちはもちろん、君が気を付けるべきことまでちゃーんと教えてくれたよね?」
「、いや、まだ」
「だろうね」

名前が笑顔をハリーに向けたまま後ろの二人を丁寧に両手で指し問うと、笑顔だが少し怒ってるようにも見えるせいでハリーは少し答えにくそうだった。それは今からと抗議したそうにパクパクしかけた二人と、名前を同時に見るハリーは微妙な心境だった。
名前は"ディメンターだけど"と真剣に切り出す。

「なんでハリーにばかり執着するの?シリウスブラックを探しに来たくせに。『あの人』が関係あるのかな?…ハリー、前に漏れ鍋での話をしてくれたよね」
「、」

なぜ影響されやすいのかと感じていたことを、名前は違う見方で捉えており、ハリーと、後方の二人は同時にしかめた。ハリーはルーピンにちょうど、過去に他の誰も想像できない恐怖があるからと答えられたものだった。君は決して弱いわけではないとも。
漏れ鍋での話と聞いて、後ろの二人は新学期前に皆で顔を合わせたあの日のこと、ハリーは皆に隠れて真剣に自分に言い聞かせるアーサーのことを思い出す。


「僕を殺そうとしているから近付くなって」
「殺そうと? …なぜ?」
「……奴が力を取り戻すため」

「私が『あの人』ならきっと、あなたのことは自分の手で殺したいと思う」
「! …」

物騒な物言いの名前にほか三人の表情は一層険しくなる。気を取り直すようにして、名前は今一度ハリーに向き合った。

「シリウスブラックにしてもディメンターにしても、あなたを狙っているのが誰なのか今分からないし、その向こうに『あの人』も関係してる可能性は十分あるってこと。
これが、その誰かの手に渡る可能性も」

地図を持つハリーの手ごと、名前が握って言い聞かせる。
自分たちもそうだったようにこの地図は確実にハリーの役に立つ。手渡す親友二人にも賛成だが、かえって危険にさらすのは絶対にあってはいけない。
真剣に聞くハリーに、絶対に気を付けてねと言うと、肝に銘じるように頷いてくれたので、名前は

「…
それにもし没収されちゃ、私も夜抜け出せなくなるでしょ」
「「……」」

握っていた手を離し、雰囲気を変えようとそう言ってふぅと溜息をついた。彼女と、後ろで"だってさ、ハリー""本音はそれだな"と言っているようなフレッドとジョージを順番に見る。

笑顔で"じゃあね"と名前が去れば、7つの抜け道やそのうちのオススメと、使い終わった後の呪文が二人からハリーに伝えられる。ハリーは習った通りに、お菓子店直行の抜け道を目指した。

prev | top | next















×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -