Prisoner of Azkaban-10



ホグワーツを真っ白に染める冬がやって来た。ハリーは時計台からホグズミードへ向かう賑やかな皆の様子を見下ろし、人知れず決心してその場を後にする。
いざ透明マントを装備しホグズミードへ向かわんとした矢先、真っ白な地面に左右順番に残されていく足跡を、見つかりたくない二人に見つかってしまい、あっけなく両腕を拘束された。大きな雪だるまをこしらえる彼らのほうへどうして歩いてしまったか、引きずられ足跡を長い二本線に変えながら強く後悔した。
もっといい手があると、まだ何も話していないのに二人には筒抜けなのに加え、透明マントで見えないはずなのに的確にハリーに向けられる二人の視線と声。

「ホグズミードへ!…」
「「分かってる」」

周囲に注意を配りながらハリーを取り押さえ、重たそうでこそあるが、何も知らない人から見ればただの並んで歩くウィーズリーの双子だった。近道だ、静かに、と告げられ連れてこられたのは時計台へあがる細い階段。門をくぐる道沿いだが塀で人目は避けられる。
階段に腰掛けさせられ、不服そうにハリーは透明マントを脱いだ。

「何するんだ!」「シッ!」

ジョージはハリーを黙らせ再び周囲に注意をめぐらす。フレッドはあの地図をハリーに持たせ、同じく行き交う人の目を警戒した。二人が警戒している"人々"の中には、もちろん"あの子"も含まれる。
持たされたものを"ボロクズ?"と素直に述べるハリーを、成功の秘訣だぞと、二人は笑った。

「本当はやりたくない」
「だが俺たちより君に必要なものだ。ジョージ、始めてくれ」

「"我 よからぬことをたくらむ者なり"」

ハリーの持つ地図にトンと杖を置き、あの呪文を唱えると、浮かび上がる見慣れた模様に文字。

「"ムーニーとワームテール、パッドフットとプロングズが贈る、『忍びの地図』"……?」
「役に立つぞ」

誇らしげに頷く二人。戸惑うハリーは地図を広げ、記され、動き回る足跡と人名に目を奪われる。どれほどの品か二人から語られるうちに、初めてそれを目にした彼ら"三人"ほどではないが、感激した表情へみるみる変わっていった。

「すごい! どこでこれを?」
「フィルチから"失敬"した。一年のとき」
「呪文を解明したのは私よ」
「「「!!!」」」

ハリーと、得意げだった二人も一変、ビク!と同時に身を跳ねさせ声のほうを向くと、腕を組み、今度はこちらがハリーに得意げな名前が壁に肩を預けていた。モリーのプレゼントのマフラーを巻いて、いつから居たのか、二人はあぁ見つかった…と各々顔で言う。

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