Prisoner of Azkaban-4



授業を終え、名前が今日もあの塔を早歩きで目指す途中、同じく早歩きのハーマイオニーといっしょになったので、並び、マネ妖怪"ボガート"の話になった。

「ルーピン先生の退散させる呪文でみんな大盛り上がり」
「あぁ、ジャズが好きなルーピン先生」

「何それ?知らない。…名前もチョコをもらった?」
「チョコ?いや。…何それ?」

二人早足のまま、しばらく呆けた顔で見合わせて笑い、"こっちだから"と、ハーマイオニーは目的の教室の扉を目指し名前に手を振った。名前が覚えているルーピンといえば汽車で遭遇したときに見た、荷物のわきのレコード店のショッパーと、あの疲れ切った笑顔だ。
しばらく歩き、3C教室を通り過ぎるとルーピンただ一人が下見のように見回す姿。しばらく歩くとぞろぞろと三年生たちがやってきて、顔見知りは「名前」と、そうでない子は「先生の授業初めてね…」と言っているのとすれ違う。違和感を覚えた名前は立ち止まり振り返ると、違和感通り3C教室へ皆入っていく。

「…  ……」

さっきの子だけ初授業だったかなと、名前は覚えた違和感を消すように息を吸い込んで、再び足を動かした。


…――

「頼む!十歳でいい」
「老け薬なんて無理。ここが抽象的すぎるもん」
「俺たちの名前に不可能なんてないさ!」

窓のそばに寄りかかる名前と、そちらに集まるフレッドとジョージ。共同開発の際はこれが三人の定位置だった。というのは、元から定位置の名前の元に、二人が難題を持ち込んでくるので当然そういう位置になった。相談の難易度は学年に比例して増していく。フレッドの手のメモを覗き込み調合の一部を"ここ"と指差せば、赤毛の頭もふたつ追うように寄せられる。おだてて乗せようといってもそうはいかないとジョージに示すような視線を寄越す。フレッドは諦めない。

「未成年お断りの店に入れるんだぞ?さすがの名前もノクターン横丁の安全圏で、未成年の魔法使いなのを偽れはしないだろ?」
「"未成年"はね。ホグワーツの生徒なのとマグルなのは偽ってる」
「…そうなのか?」

若干引いてしまったフレッドの代わりに、だったらあの店じゃもっと面白い話が聞けるよ!とジョージがなんとか乗せようと試みるが、名前の回答はノー。
もう一度、今度は二人同時に頼んでも、答えは同じ。

ちぇー。などといじけるような態度を見せる二人が肩を落とす"フリ"なのは、こうは言っても名前はいつも、自分たちのために最善を尽くしてくれると知っているからだ。名前自身も、そんな放っておけない自分のことをよく分かっている。

「…すぐには無理だと思うよ」
「「!!  いいさ」」
「下手すると何年も先かも」
「「いいさ!!!」」

雰囲気が一変し二人が上げた歓声に身を縮こめるが、すぐに名前もおかしくなって笑い、フレッドのメモを受け取った。

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