Chamber of Secrets-13



全生徒が広間に集い、石にされた者たちの帰りを喜んだ。ハーマイオニーも同様に、笑顔を溢れさせ扉をくぐり、一直線に二人を目指し、ハグと、握手で喜びを分かち合った。その様子は隣のハッフルパフのテーブルに居る名前からも見え、ハーマイオニー、本当によかったと笑みをこぼす。
マクゴナガルが鳴らすグラスの音で全員座り、ダンブルドアへ視線を集めた。

「宴を始める前に…、拍手でたたえよう。スプラウト先生と、マダム・ポンフリーを。お二人がマンドレイク薬で、石になった者を元に戻して下さった。

また最近の出来事を考え――

お祝いとして、期末試験は取りやめとする」

一層高まる拍手と、一部からは歓声も聞こえ広間にたくさんの笑顔が咲いた。名前なんだかおかしくもなりながら拍手をしていたが、突如開いたドアに、声を上げずにいられなかった。

「…遅くなった」
「ハグリッド…!」

笑顔の瞳に、溜まった涙で姿がぼやける。
ああ、と名前に返し、ハグリッドは真っすぐ通路を進みながら話す。

「例のフクロウ便が道に迷っちまってな。エロールちゅうやつだ」

表情の凍るロンのそばに、ハグリッドは立ち止まり、ハリーハーマイオニー三人に、丁寧にお礼を述べると、ハリーが立ち上がり、真っすぐと見上げた。

「やっぱりハグリッドがいなきゃ」

両手をいっぱいに広げ抱きしめるハリーの頭を、ハグリッドの大きな手が撫でる。その姿に、皆の胸に一層安心と喜びが募る。
ダンブルドアが立ち上がり拍手を送ると、次々と拍手が送られ、生徒たちはこの広間で一番喜びの声を上げ、皆ハグリッドに駆け寄った。胸いっぱいになった名前の笑顔にも涙がポロ、と伝う。
ハグリッドに歓声を送るジョージの隣、拍手の手を変え自分の頬を指さし名前に笑うフレッドにも、名前は心から、笑って見せた。

ホグワーツを脅かす事件の全ての解決が、ハグリッドの帰りが、すべてがこの広間で喜ばれ、皆穏やかに、楽しいときを過ごした。


…――

"コンコン"

帰りの汽車。名前の座る席の窓が叩かれる音に振り向くと、これから乗るセドリックが"またな"と手を振ったいた。笑顔で振り返しているとフレッドジョージが席へやって来た。
セドリックを見送りながらフレッドが話す。

「各寮の授業でよくやる男女ペア、これから全寮の授業のときもあんのかな」
「今までは俺たちでなんなりと誤魔化せてたけどな〜…」

名前は顔も見ず何気なく姿勢を戻す中、話終えた二人が隣同士互いを探るように黙った顔を向け合うと

「そんときは俺…―
「そんときは俺は名前と組むね」

え?と二人を見ると
言い切ったほうのもんだと笑うフレッドと、くそ…と目を閉じるジョージ。

「押さえたからな。セドリックんとこ行って裏切るなよ」

あるか分からないペア分けの予約をとってどうするのか。笑ってさっさと言い付け荷物を探るフレッドの、なんだか耳が赤く感じた名前は訳のひとつも分からないままジョージに目をうつしたが、肩をすくめて笑って返されるだけだった。

ハリーにも、彼らにも、"T"の名前のことは話さずに、この引っ掛かりはまだ自分の中に留めておこうと、名前は何気なく振る舞うよう気を付けながら、景色に目をうつした。

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