Chamber of Secrets-12



〜我らの世界を徘徊する怪獣で最も恐るべきはバジリスク。数百年も生き長らえ、この巨大な蛇のひと睨みは命取り。クモはその前ぶれ。〜

「"秘密の部屋"に棲む怪物はバジリスクだ。すごく似てたけど名前が言っていたメドゥーサじゃなくて、これだったんだ!蛇だから僕は、その言葉が聞こえた」

石になったのは直接目を見ていないから、クモのつじつまも合う、とどの事件の真相もどんどん解明されていった。
ハーマイオニーの手に丸められたのは書籍の一ページで、その隅には彼女の文字で"パイプ"とメモが残されており、大蛇の動き回る手段も既に解かれていた。

「っくさい…、何かしらこれ。下水みたいな…」
「ジャスティン達を見つける前名前も言っていた」

突如、響き渡るマクゴナガルの音声に二人の肩が跳ねた。"先生方は大至急二階の廊下へ"という放送通り、ハリーとロンは二階の廊下へ急ぎ、壁に再び記された継承者のメッセージとジニーが秘密の部屋へ攫われたのを知る。
ロックハートに託すのは癪だが、知るすべてを伝えて託そうと、二人は彼の部屋へ急ぐ。


小さな塔で過ごしていた三人の耳にもマクゴナガルの校内音声は届く。
大至急二階の廊下へ。また被害が出たのだろうと、それだけで分かり名前が表情を曇らせる。

「「寮に。」」

戻ろう、名前。と忠告するように声をそろえる二人に、勿論その気でいるとうんうん頷いて見せ、今日も見ていた『ホグワーツの歴史―別冊』をパタンと閉じる。

また明日と、ハッフルパフとグリフィンドールに分かれる前、三人拳を作ってポンと交わして別れる。
なぜだか引っ掛かると、またハリーに"T"から始まるあの名前の話をしようか、また変人扱いで終いだろうかと、名前はまた、他のどの名前よりかなり強調されたその名前を、眺めて考えた。


そのハリーがその夜、ロンと共に秘密の部屋の謎や事件の真相も解明、バジリスクを倒してしまうとは、誰が想像できただろうか。
まったく噂は一体どうやって広まるのか、名前は自分の同じようにまだパジャマの友人に叩き起こされ、次々話を聞かされる。名前は目を丸くしたままみるみる頭を冴えさせる。連行されたハグリッドも釈放だと、友人が沸くハッフルパフ寮をぐるっと眺めて再びを見ると、もう空のベッドとなっていた。

フレッドジョージも聞いてすぐにきっと駆けだして、同じように寮を飛び出しただろう。解決となれば新規則の行動制限だって解除だと、名前はまだ誰も居ない城を駆け、自然と頬を緩める。一階、いちど城の柱に隠れて、掴んで来た上着をパジャマの上から羽織っていると、中庭の向こうに目当てのハリーを見つけた。誰かを城から見送った後なのか、少し考えて踵を返すような姿に、周囲をよく見渡してから、小さな声で呼びかける。
朝のぴんと冷たい空気に名前の声は小さくても十分、ハリーの耳に届く。こちらに気付くと、傷も汚れも大層ついた顔で、笑って見せた。
近くで見れば一層ひどく彼の身を案じたが、彼の表情はそれに反して安心と、喜びに満ちていたので、名前も笑顔を返し、今は事件の解決をとにかく喜んだ。



「ホグワーツ特別功労賞?そんなの別冊にも載ってなかった」
「じゃあ、名前の図鑑に"バジリスク"って大蛇は載ってた?」
「?、 …!?」
「…じゃぁ、屋敷しもべの妖精は?」
「…!?」

(大蛇…!?)(妖精…!?)と、感動で声も出さず目を輝かせる名前をハリーが笑う。城内に続くステップに腰掛け仲良く二人を、ダンブルドアは少し向こうから眺め、柔らかい表情を浮かべた。


prev | top | next















×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -