Chamber of Secrets-9



「!!!! んぐ」

マクゴナガルに言われた通りハッフルパフ寮へ向かう通路の途中、影から突如伸びた腕に捕まり、驚いて叫びそうになる声も大きな手に塞がれた。咄嗟につぶった目を開けると誰も居ないかさらに影のほうに身を隠しながら周囲を見回すフレッドと、後に続くジョージは少しフレッドが乱暴に見え止めたそうだった。
口を開放されても腕を強く掴まれたままだった。努めて小声で抵抗する。

「いいい痛いったら…!」
「どこ行ってたんだよ!状況が分からないのか!?」
「なにも調べてない!」
「どうせこれから調べるつもりだったろ。名前今回ばかりは止めておけ」
「!?なんで?私がうまくやればハリーの誤解も解け…―!」

名前も引き下がれず少し頑なになりつつあったが、遮るようにフレッドがまた痛いほど両肩を掴みなおし自分のほうを向かせ、真っすぐに名前と視線を合わせる。名前がうまくやるのはとうに知っているが、石にされない、命を落とさない自信がどこからわくんだとフレッドは頭にすらきてしまっている。自分の事が多少悪いほうへ運んでも、ハリーのことや、事件が解決すればいいとでも言うのかと。


「マグルが次々石にされてるんだぞ!名前だったらと思うと…!」
「……」


瞬間は驚いたものの、切な思いというのが強く伝わるような、フレッドの見たこともない表情に、名前は口答えをやめた。が、いつもだったら少々危険であっても協力し合う仲じゃないかとか、どの口が言うんだとか、なんとも子供じみた頑固さが、まだ名前の心の隅に居座り口を開かせる。ぎゅっと締め付ける胸を誤魔化すように息を吸い、困惑した顔は次第に元の不機嫌なものに戻った。

「……今日はお説教?」
「…何? ――」
「名前」

もう怒りだしそうなフレッドに割って入る、ジョージの優しく呼ぶ声。フレッドに掴まれたまま見たジョージの表情は、落ち着いている。

「俺もフレッドも、危険な目に遭ってほしくないだけだ。
名前が石にされるなんて、怪我するなんて耐えられないだけだ。分かってくれ」

真剣に話すジョージは一番冷静だった。自分たちに言われて不服だろうと名前の気持ちもジョージは汲んでいた。だが、臆せず言い返したり、クィディッチも見てられないくせに危険なほうに危険なほうに進んでいく名前を、最近は特に危なっかしく思っていたため、寮の近くで待ち伏せなんて良くないが、仕方なくそうした。

親に諭される子供のように目を落とす名前にやっとフレッドも冷静さを取り戻し、気まずそうに名前から両手を離した。
名前は小さく、小さく頷いて、顔も見ずに寮へ歩みだす。返してくれないのは分かっていたが、ジョージはおやすみ名前、と声を掛ける。
大丈夫さと、手で顔を覆い肩を落とすフレッドの背を叩き慰めるのも忘れずに。

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