Chamber of Secrets-7



決闘クラブの開催に集まった人々のうち女子生徒の大半は、ロックハートにハートをとばしながら溶けていってしまいそうであった。名前は遅れ気味に集団に向かい、すぐに頭ひとつ飛び出すフレッドジョージを見つけて駆け寄る。
背後からやって来たドラコがわざとらしく、道を開けろと名前に肩をぶつける。よろめく名前を咄嗟に支えたフレッドと同時にジョージの顔も怒りに変わり、周囲も少しざわつくが

「こら謝んなさいよ!」「「しぃっ!!」」

言い返される筈じゃなかったかビクついて集団へ紛れようと走るドラコと取り巻きに向かって、ざわつきはクスクスと笑い声に変わった。ハーマイオニーの目に"やめとけよ名前…!"と今や笑ってしまっているフレッドジョージと、こちらを向く名前がうつる。人差し指を立て"ちゃんと見た?"とジェスチャーが送られ、ハーマイオニーは悪戯っぽく笑い、頷いた。
ロックハートの呼びかけに、皆が注目する。

「自らの身を守れるよう君たちを鍛え上げます!私は何度も危険な目に…。詳しくは著書を読むように」

そう言って投げられた彼のローブに黄色い歓声が起こり、何人もの女の子たちの手が伸びる。名前が顔を上げるのを合図に二人が顔を寄せる。この三人の息の合いようは四年生の中ではひとつの名物になりつつある。

「"嘘っぽお話全集ギルデロイ・ロックハート著"を?」
「おい名前、あれ貰ってこいよ!」
「大ファンだって言ってたろ!」
「もうそのノリやめて」

肘で小突いてコソコソ話をするように顔を寄せる二人に名前は最早否定するのも疲れ付き合うのをやめる。ハリーのときにしろ今にしろ、セドリックの話をしたときの反応とは大違いだと、ジョージとけたけた笑うフレッドを見上げる。

助手と呼ばれたスネイプとの実践、スネイプの繰り出す魔法に名前は釘付けになった。1、2、3で吹き飛んだロックハートを皆が見る中、名前はスネイプに目を向ける。自分もいつかあんな魔法を、しかも指を鳴らして出せないだろうか?
起き上がったロックハートが次は生徒に呼びかけ、ハリーとドラコが台へあがることに。

初めは期待の目を向けたが、次第に熱を持っていく二人から噂にだけ聞く禁断の呪文まで飛び出してしまわないか、それほどの展開に名前はクィディッチのときのような心境に変わりつつあり、少し目を逸らす。気付いた両隣の二人が笑い、ジョージが宥めるようにわざとらしく"やれやれ"と、肩をポンポンと叩いた。
あんなこと自分が同学年の頃はできたか?ロックハートからも「武器を取るだけに!」と再び呼び掛けられ緊張が増す。

「サーペンソーティア!」

ドラコの呪文で蛇が飛び出した。教師たちの表情が少し変化したのを、名前は見逃さなかった。ロックハートの呪文によって上空へ飛ばされ勢いよく地面に戻った蛇にも目を見張る。
目を逸らすのをやめた名前に、フレッドジョージも気付いたとき、ハリーが何かを蛇に言いつけるように、蛇に歩を進めながら話すが、なにをいるのかが分からず、声色も普段と違う。

「(…?ハリー? ……)」

同じハッフルパフ生のジャスティンを獲物のように見つめ威嚇する蛇。まるで止めてこちらを向けと指図しているようなハリーに、応えるように蛇は振り向いた。すると蛇は威嚇をやめハリーを見て、舌を見せてすっかり大人しくなる。
スネイプの呪文で蛇は焼き消えたとき、ハリーの困惑する表情がうかがえた。案じた名前が掛けようとした声は、「悪ふざけはよせ」と怒りを向ける、ジャスティンにかき消された。

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